(※写真はイメージです/PIXTA)

孫の進学や就職を機に、まとまったお金を援助する祖父母もいるでしょう。教育費の負担を少しでも軽くしてあげたいという思いに加え、孫の成長を応援したい気持ちもあるはずです。しかし、援助をきっかけに家族との関係が変わる場合もあります。善意で渡したお金だからこそ、その後の相手の反応が気になり、寂しさを感じることもあるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「大学生活を楽しんでほしい」孫のために用意した100万円

72歳の芳江さん(仮名)は5年前に夫を亡くし、現在は一人暮らし。遺族年金などを含めた年金収入は月約17万円、貯蓄は約1,800万円です。住宅ローンを完済した自宅で、つつましく暮らしています。

 

芳江さんには45歳の娘がいて、その長男が今年の春、私立大学に進学しました。

 

「小さい頃からよく遊びに来てくれる孫でした。受験勉強も頑張っていたので、合格したと聞いたときは本当にうれしかったんです」

 

進学先は自宅から通える大学でしたが、入学金や授業料、教材費など、まとまった費用が必要になります。

 

娘夫婦は共働きで、学費も自分たちで準備していました。それでも、芳江さんは何か力になりたいと考えます。

 

「夫が生きていたら、きっと喜んで援助したと思います。私も孫のためにお金を使いたかったんです」

 

そこで娘に、大学進学のお祝いとして100万円を出したいと伝えました。

 

娘は最初、「そんなに出してもらわなくても大丈夫だよ」と遠慮していましたが、芳江さんが何度も勧めたため、申し出を受け入れることに。

 

芳江さんは、娘から渡された大学の納付書を確認し、初年度の学費の一部として100万円を大学に直接振り込みました。

 

「貯蓄が1,800万円あったので、100万円くらいなら出せると思いました。自分の老後資金も大事ですが、孫の将来のためなら惜しくなかったんです」

 

振り込みを終えたあと、娘からは「入金を確認できたよ。助かった」とLINEが届きました。

 

しかし、孫本人からは特に連絡がありませんでした。

 

「大学に入ったばかりで忙しいんだろうと思っていました。落ち着いたら、顔を見せに来てくれるかなと」

 

ところが、夏休みになっても孫から連絡はありません。芳江さんが娘に近況を尋ねると、「アルバイトと友達との予定で忙しいみたい」との返事でした。

 

大学進学から半年が過ぎた頃、芳江さんは友人との会話で、思わず本音を漏らしました。

 

「100万円も出したのに、ありがとうの一言もないのよ」

 

友人は「お孫さんは、お金を出してもらったことを知っているの?」と尋ねました。芳江さんは、孫が援助のことを知らない可能性に初めて気づきました。

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