(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅購入では、予算内で希望の広さを確保できるかが重要な判断材料になります。都市部のマンション価格が高いと感じ、郊外の一戸建てに目を向ける人もいるでしょう。庭や駐車場のある家は、子育て世帯にとって魅力的な選択肢です。ただし購入後の暮らしやすさは、建物の広さや価格だけでは決まりません。通勤や買い物にかかる時間、住まいの維持管理なども、日々の生活に影響します。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「2,000万円も安いなら」庭付き一戸建てを選んだ夫婦

38歳の健吾さん(仮名)は、36歳の妻・沙織さん(仮名)と小学1年生の娘の3人暮らし。夫婦ともに会社員で、世帯年収は約1,150万円です。

 

2年前、娘の小学校入学を見据えて、マイホームの購入を決めました。

 

当初検討していたのは、夫婦の勤務先へ電車で通いやすい、駅徒歩5分の新築マンション。70平方メートル台の3LDKで、価格は約7,000万円でした。

 

「通勤も買い物も便利で、できればそこに住みたかったんです。でも、住宅ローンの返済を考えると、少し背伸びしすぎかなと思って」

 

夫婦は頭金を入れても約6,000万円の借り入れが必要になる見込みでした。管理費や修繕積立金、駐車場代も毎月かかります。

 

そんなとき不動産会社から紹介されたのが、同じ通勤圏の郊外にある新築一戸建てでした。

 

土地約150平方メートル、延床面積約100平方メートルの4LDK。小さな庭と駐車スペースがあり、価格は約5,000万円です。

 

「マンションより2,000万円も安くて、家も広い。庭で子どもを遊ばせられるのも魅力でした」

 

最寄り駅までは徒歩25分ほど。駅へ向かうバスもありますが、朝は道路が混雑するため、所要時間が読みにくい場所でした。

 

それでも夫婦は、駅まで自転車を使えば問題ないと考えます。

 

「通勤時間は少し長くなるけれど、広い家で暮らせるなら、そのくらいは我慢できると思ったんです」

 

頭金500万円を用意し、住宅ローンは4,500万円。35年返済で、当初の毎月返済額は約12万円でした。

 

引っ越し直後は、新居での生活を楽しんでいたそうです。

 

娘は庭で縄跳びをしたり、夏には小さなプールを出したりして遊んでいました。休日には家族でバーベキューを楽しむこともありました。

 

ところが、生活を続けるうちに、購入前には軽く考えていた不便さが目立つようになります。

 

「駅まで自転車で行けると思っていたんですが、雨の日はそうもいきません。バスが遅れると、電車にも間に合わなくて」

 

沙織さんは週3日出社しており、雨の日には娘を学童保育へ迎えに行く時間がぎりぎりになることもありました。

 

スーパーも徒歩圏内に小規模な店舗があるだけで、週末のまとめ買いには車を使います。

 

さらに、庭の手入れも想像以上でした。

 

「夏は雑草がすぐ伸びるし、秋は近くの街路樹から落ち葉が飛んできます。休みの日にまとめて片づけようと思っても、ほかにやることが多くて」

 

購入から2年目の10月。三連休の初日、夫婦は朝から庭の草取りと落ち葉の掃除に追われていました。作業を終えた頃には昼を過ぎ、娘と出かける予定も取りやめに。

 

その夜、沙織さんがぽつりと言いました。

 

「安く買えたと思っていたけど、その分、毎日時間を使っている気がするね」

次ページ2年後に見直した住まいの価値

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