今回は、金融庁の「経営者保証に関するガイドライン」の効果について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「担保・保証に依存する融資姿勢を改める」

平成27年9月、金融庁から新たな
「金融行政方針」が、各金融機関に配信されました。
ネット上で開示もされています。

こちらです

 

そのなかの重点施策のひとつとして、
「担保・保証に依存する融資姿勢を改める」
とあります。(方針書の10ページ)

 

平成26年、「経営者保証に関するガイドライン」が
出されたものの、実態としては、まだまだ依存傾向が強い、
と金融庁は判断しているからです。
この6月に、「経営者保証に関するガイドライン」の
活用実績状況を、金融庁が発表しました。

こちらです。

 

平成27年4月から平成28年3月までの調査で、
新規融資に占める経営者保証に依存しない融資は、
全体の12%です。
ガイドラインが出た後も、ほぼ9割の案件は、
経営者が保証しているのです。
ちなみに、上記1年間に、
既存の保証を解除した数字も出ています。
年間で30,372件です。
1年間の融資件数は約350万件です。
それを考えると、ごくわずかな数字です。

銀行は基本、個人保証を外したくない!?

実際、既存の個人保証について
“外してください!”と銀行に交渉しても、
すぐに外してくれました、という声は聞いたことがありません。
一番多いのが、
“持ち帰って検討させていただきます。”
となって、そのまんま、というパターンです。

 

先日も、同様の事例がありました。
個人保証を外す交渉を担当にしたところ、
担当と支店長までもが、わざわざ会社に来たのです。
で、“最近はそのような声にも対応しております。”
と、支店長自らパンフレットを見せてダラダラと説明した最後に、
“では、持ち帰って検討させていただきます。”
となって、結局そのまんま、という事例を聞きました。

 

銀行は基本、個人保証を外したくない、というのが、
まだまだ現状のスタンスなのです。
だから、ちょっと依頼したくらいでは、
のらりくらりと交わされます。
“個人保証の件はどうなりました?”
“新たな金融行政方針でも、重点施策になっていますよね?”
“方針書、ご覧になっていますよね?”
といいつつ、方針書をその場で見せるくらいしても、
いいのです。
わざわざ支店長が来る、というのは、担当行員が、
知識を持ち合わせていない、
ということの裏返しでもあるのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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