「安売り合戦」に陥った銀行融資…借りる側は今がチャンス?

本連載では、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。※本記事は、2019年7月18日、7月23日に掲載された古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。

銀行借入の金利は、タイボ+スプレッド(上乗せ)で

タイボ(TIBOR)は東京の銀行間におけるお金の取引金利で、日々変動します。日本経済新聞朝刊の「マーケット総合1」のページの左下、「短期金融市場」のところに、「東京銀行間取引金利」として、日々、掲載されています(概ね16ページか18ページです)。

 

その、日々変動するタイボ金利に、あらかじめ定めたスプレッド金利を上乗せします。それが、タイボ+スプレッド(上乗せ)です。タイボの変動金利を基本にするので、固定か変動かで言えば、変動金利となります。

 

中小企業の場合、スプレッドは、低くても0.1です。ところが先日、ある元銀行頭取の方から、「上場会社の優良企業は、スプレッドがゼロですよ」とお話しを伺いました。つまり、タイボのみ、の金利です。

 

元頭取いわく、

 

「スプレッドがゼロでも、銀行にすれば、日銀へ預けてマイナス金利で払うよりはましだし、何より、融資額を増やせるから、そのほうがメリットある、ということなんですよ」

 

とのことです。

 

もちろん、中小企業での借入額のように、数億円とはケタが異なるレベルの融資額です。だからこそ、日銀へ預けて0.1%のマイナス金利を払うくらいなら、企業へ貸してタイボ金利分だけでも受け取ろう、となるのです。

 

そうであれば、中小企業の場合、銀行交渉で生かすべきは、「日銀へ預けてマイナス金利を払うより、スプレッドをゼロにしてでも、会社へ貸したほうがいいでしょ」と仕掛けることです。

 

中小企業が借りる額からして、スプレッドがゼロになることはないかもしれません。が、スプレッドを下げる交渉ネタにはなります。できるだけ下げてください!と言うよりも、明らかな根拠があるのですから。

5月の「地方銀行」平均金利がなんと0.637%!

上場会社の優良企業はタイボ+スプレッド(上乗せ)のスプレッドが、ゼロもあります、と申し上げましたが、追い打ちをかけるように、日銀が毎月公表している新規融資の平均金利が、過去最低を記録しました。

 

3月、4月とジワジワ上昇していたのが、一気にガクッと下がり、5月の全体平均は、0.576%となりました。公表されている、直近3ケ月の推移は、次のとおりです。

 

[図表]
[図表]元データは、こちらです。

 

私が驚いたのは、5月の地方銀行の平均金利0.637%です。地方銀行の平均が0.6%代になる、というのは、初めてではないか、と思うくらいの低さなのです。もちろん、平均ですから、これより低い融資もあれば、高い融資もあります。

 

先日も顧問先で新規融資を受ける際、ある地方銀行から、「うちはこれ以上下がることはありませんよ」と言われた金利が0.9%だったのです。それは絶対にウソだ!となり、新たにアプローチしてきたメガバンクへ声をかけると、あっさり0.6%で提示してきました。

 

で、先の地方銀行員に、「おたくは0.9%より下がらないようなので、0.6%のメガバンクで借ります」と、社長は淡々と言いました。

 

案の定、地方銀行は、「うちも0.6%でできるようになりました」とやってきたのです。「よくもぬけぬけと、あんな言い方ができるもんですよね」とは社長の弁です。

 

結局、ほとんどの銀行員は、低金利という安売りでしか、優位性を示せれないのです。また、借りる側も「で、なんぼにしてくれるの?」と、低金利を求めます。まさに安売り合戦の悪しき戦場へと、銀行融資は陥っているのです。

 

今、融資交渉をしていて、これまでの金利が平均よりも高いのなら、この機会にぜひ、平均金利の実態を見せつけて、「うちが平均より高いのはおかしいじゃないですか! 下がらないなら、アプローチしてきてる他行で借ります」と、強気に出てほしいのです。

株式会社アイ・シー・オーコンサルティング 代表取締役

昭和40年 大阪府生まれ。

平成元年 関西大学卒業後、兵庫県の中堅洋菓子メーカーに入社。経理、総務、人事、生産管理、工程管理、広報など、主たる管理部門で実力を発揮。

平成17年 株式会社アイ・シー・オーコンサルティングに加わり、経営指導業務を開始する。
以降、長年の現場実務経験と、師匠である井上和弘(アイ・シー・オーコンサルティング会長)の《井上式経営術》を武器に、日々、中小企業の黒子としての経営指導に邁進している。

指導実績:財務改善、税務・銀行対策、労務問題改善、経営企画、管理会計、IT・システム化、事業承継など。
また、日本経営合理化協会主催「後継社長塾」(塾長:井上和弘)、に塾長補佐として参加し、後継社長の育成にも尽力している。

著者紹介

連載経営者必読!融資を勝ち取る銀行交渉術

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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