担当者の主観で行われていた評価
銀行は取引企業を、客観的な評価で、
格付け(スコアリング)します。
しかしそれは、バブル崩壊後、
銀行の不良債権問題が表面化した、そのあとの話しです。
じゃあ、それ以前は、いったいどのように格付けされていたのか?
調べてみました。
こちらです。
評価項目は14項目です。
が、驚くことに、計数指標や基準などは、まったくありません。
すべて、担当者による主観的評価です。
各項目を、「優良」「普通」「劣後」の3段階で評価し、
最後に、総合的に6段階で評価を付けます。
で、稟議が通ればそれでOK、だったのです。
しかも、結局は、黄色の部分、
11番から14番の、「親密度」「協力度」などが、
他の項目や全体評価に影響していたであろうことは、
想像がつきます。
早い話し、担当者や支店長の心象がすべて、だったのです。
ベストセラー作家が予見した現在の格付け
この格付けで、浮き彫りになった問題点は、大きく3つでした。
1)担当者によってバラツキが生じ、銀行全体での評価の統一ができない。
2)融資の安全性と無関係な項目がいくつもあり、客観性に欠ける。
3)担当者の案件次第で、作為的に格付けできてしまう。
このかつての格付け方法こそ、
銀行サマサマ病の、根源だったのです。
この内容は、
1997年に出版された書籍「会社の格付」(中経出版)
に示されていたものです。(絶版です)
著者は、都市銀行を退職して間もないころの、池井戸潤氏です。
この書籍で、これまでの格付けは今後こう変わる、ということで、
我々が言い続けている、現在の格付け(スコアリング)が、
紹介されているのです。
そこには、バブル期に倒産した数々の会社のうち、
最高格付けになっていた会社が多々あった、
と、記されています。
それだけ、いいかげんな格付けであった、ということです。
なのに、多くの経営者は勘違いし、
銀行とのおつきあいを大切にしていれば大丈夫、
と、信じこんでしまったのです。
格付け方法が変わって、はや20年なのです。
とはいえ、その以前から経営に携わっている人は、
まだまだたくさんおられます。
むしろ、かつての格付け方法のほうが、長く経験している、
という方もおられることでしょう。
そのような方々が、銀行サマサマ病に陥るのには、
このような理由があったのです。