会社を高く売却するために重要な「稼ぐ力」と「組織体制」
自社を少しでも高く買い取ってもらうためには、本業の稼ぐ力の立証と組織体制の整備という2つのアプローチが重要となります。
「EBITDA(エビットダー)」の最大化
EBITDA(Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)とは、営業利益に減価償却費を足し戻した指標であり、会計上の償却ルールに左右されない「本業で現金を稼ぎ出す実質的な力」を表します。
過去に大型の設備投資を行って減価償却費が膨らみ、営業利益が押し下げられている場合であっても、EBITDAを高水準に保つことで買い手企業へ高い事業価値を主張できます。
経営者個人への依存からの脱却
中小企業では社長個人の営業力や人脈に会社が依存しているケースが散見されます。しかし、M&A後は現経営者が退任することが前提となるため、社長がいなくなると回らない組織は買い手から高いリスクとみなされ、評価額を大きく買い叩かれます。
組織図の明文化や役員・管理職への権限移譲を進め、社長が不在であっても事業が円滑に継続する仕組みを構築しておくことが、企業価値を数千万円から数億円単位で押し上げる鍵となります。
売却直前の無理な節税は厳禁…計画的な決算書作成の重要性
会社の売却は、長年培った事業の価値を現金化し、リタイア後の資金や次の挑戦へつなげる有効な財務戦略です。
会社の評価額は「時価純資産+営業利益の3年〜5年分」という一つの相場基準が存在するため、売却直前の無理な節税によって利益を押し下げる行為は厳禁と言えます。
EBITDAを指標として本業のキャッシュ創出力を高めるとともに、社長不在でも回る組織体制へ移行しておくことが、適正かつ高額な売却を実現するための近道となります。売却を検討する段階から計画的に決算書と組織を作り込んでいきましょう。
黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
