「孫が喜ぶなら」月に数万円を使っていた75歳女性
75歳の和枝さん(仮名)は、年金月19万円で暮らしています。夫とは十数年前に離婚し、現在は持ち家のマンションで一人暮らし。貯蓄は約1,100万円あります。
近くには45歳の娘・理恵さん(仮名)が、夫と小学5年生の長女、小学2年生の長男と暮らしています。
和枝さんにとって、2人の孫と過ごす時間は何よりの楽しみでした。
「子どもが小さい頃は仕事で忙しくて、あまり遊びに連れていけなかったんです。その分、孫にはいろいろしてあげたくて」
娘一家とは月に2、3回ほど会い、休日には孫たちとショッピングモールへ出かけることもありました。最初は一緒に食事をする程度でしたが、孫が成長するにつれ、おもちゃや洋服、ゲームソフトなどを買う機会が増えていきます。
「これ欲しいな」と言われると、つい財布を開いてしまう和枝さん。1回の買い物で1万円以上使うことも珍しくありませんでした。
誕生日にはそれぞれ2万~3万円程度のプレゼントを贈り、入学祝いなども欠かしません。娘の理恵さんから「そんなに買わなくていいよ」と言われることもありましたが、和枝さんは「私が好きでやっているんだから」と笑っていました。
ところがある日、娘一家が自宅を訪ねてきたときのことです。
玄関に入ってきた小学2年生の孫が、和枝さんの顔を見るなり、こう尋ねました。
「おばあちゃん、今度は何を買ってくれる?」
悪気のない、明るい声でした。しかし、和枝さんは返事に詰まってしまいます。
「今日は何も買わないよ。一緒にお昼ご飯を食べようね」
そう答えると、孫は少し残念そうな表情を浮かべ、すぐに持ってきたゲーム機で遊び始めました。
以前は会うと学校での出来事を話してくれたのに、最近は買い物の話ばかりになっている。和枝さんは、そんな変化に気づきました。
その日の夕方、理恵さんが帰り支度をしているとき、和枝さんは思い切って尋ねました。
「私、あの子たちに物を買いすぎていたのかしら」
