売上3億円・営利5,000万円企業の売却相場
実務において中小企業の概算価値を算出する際は、以下を組み合わせた簡便な計算式が広く活用されています。
【M&A相場の簡易算定式】
時価純資産+過去3年間の平均営業利益×3年〜5年分(のれん代)
たとえば、売上高3億円、営業利益5,000万円、純資産1億円の会社の場合、営業利益の3年〜5年分である1億5,000万円〜2億5,000万円がのれん代として加算され、売却相場は2億5,000万円〜3億5,000万円と試算されます。のれん代の年数が3年〜5年に設定される理由は、中小企業において現在の収益性が10年先まで継続する保証が難しいためです。
ただし、会社の売却を視野に入れている経営者が最も注意すべきは「決算直前の過度な節税対策」です。
通常、決算期においては法人税の負担を抑えるために経費を積み増す節税対策が講じられます。しかし、M&Aによる売却を控えている局面での行き過ぎた節税は、企業価値を暴落させる致命的な要因となります。
前述の算定式が示す通り、会社の評価額には「営業利益の3年〜5年分」がのれん代として直接反映されます。仮に年間5,000万円の営業利益が出る事業であっても、過度な節税によって決算書上の営業利益を0円まで圧縮してしまうと、のれん代の評価も0円となるリスクが生じます。
目先の法人税数千万円を回避した結果、会社売却時の評価額が数億円単位で減少しては本末転倒です。M&Aの専門家による査定では節税項目を足し戻した正常収益力を考慮する場合もありますが、買い手企業が最初に目にする決算書の印象が悪化することで交渉自体が破談するおそれもあります。
売却を検討する数年前からは積極的な節税を控え、あえて税金を支払ってでも利益を計上した綺麗な決算書を作り込む姿勢が不可欠です。
