今回は、銀行の「固定金利」のカラクリについて見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

融資約定書に記載された「利息」に関する条項

“金利は固定にされたほうが、安心ですよ”

銀行にそうすすめられ、“固定金利で借りました。”

とおっしゃる経営者に、お目にかかることがあります。

 

で、そのような方々は、“金利もそのうち上がるかもしれないし、そうなったら、固定の方が確かにトクだと思います。”

 

と、おっしゃられます。

 

しかし、よく考えてみてください。銀行の提案で、トクをしたことがあるでしょうか?
もしも、固定金利以上に金利が上がったとして、本当に借り手がトクをする状況になると思いますか?

 

相手はおカネを貸すプロですよ。しっかりと、ウラ条件を備えています。それは、融資約定書にあります。「利息」に関する条項です。そこには概ね、次のようなことが記されています。

 

「金融情勢の変化、その他相当の事由がある場合には、一般に行われる程度のものに、変更を請求できるものとします。」

「固定を変動化」できるようにしてある!?

つまり、多くの経営者が描いているような、金利上昇のケースが仮にあったとしても、この条項をたてにして、“固定金利の見直しをお願いします”と、言えるように仕掛けてあるのです。固定を変動化できるように、してあるのです。

 

この文言は、銀行にとって、かなり有利で便利です。そもそも、約定書の各条項など、
いちいち細かく読んで確認する経営者は、少ないです。それをわかったうえで、仕掛けてくるのです。

 

だから、銀行にすれば、固定金利で全然オッケーなのです。リスクヘッジの条項を備えているからです。まして今や、史上最低の低金利時代です。

 

固定金利にしておけば、金利上昇リスクが発生するまでは、銀行は大いにトクするのです。

 

銀行の甘い言葉には、必ずウラがある。そう考えておいてほしいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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