「個人預金をしていただけませんか?」
銀行が企業に対して、定期預金を促しながら、融資を行う。
これは、いわゆる「歩積み両建て」と言われています。
金融庁から銀行に対する監督指針には、「歩積み両建て」預金をさせてはならない、となっています。
このことは、多くの銀行担当者、経営者が、知るところとなってきました。
しかし、そのウラを行こうとする銀行担当者は、今もいるのです。
ある企業で、銀行担当者から経営者に提案がありました。
“融資に合わせて、個人預金をしていただければ、さらに金利をさげさせていただきます。”
つまり、経営者の個人預金を、他行から、ウチの銀行に移していただけませんか?
ということです。
“えっ、それって、歩積み両建てじゃないんですか?”
その経営者は、言い返しました。
すると、“法人の場合は、歩積み両建てになるのですが、個人の場合は、該当しないのですよ。なのでこれは、ウラ条件としての、お願いです。”
との返答があったようです。
“個人だろうが法人だろうが、こっちにとっては一緒でしょ!”
その経営者は、その申し出を断わりました。
融資がほしいがために条件に乗る経営者
多くの決算書を見ていると、たまに、
“どうしてこの会社にここまで銀行は融資するのだろう?”
という財務内容の場合があります。
で、尋ねてみると、個人預金をたくさんしている、個人資産をたくさん所有し、個人保証をしている、などということがよくあるのです。
要は、銀行側は、とりっぱぐれのないよう、何かをウラ条件的に、抑えているのです。
経営者も、融資がほしければ、条件に乗ります。そうなるとやがて、貸してもらっている、という意識になり、強気の交渉など、できなくなります。
ウラ条件を投げかけられても、“それはないでしょ!”と言える、財務体質であってほしいのです。