「新築高止まり、中古二極化」が本線か
では、マンション価格は今後どうなるのか。
2026年秋時点で考えれば、向こう数年のメインシナリオは、『新築価格の高止まりと、中古価格の二極化』ではないかと思われる。
新築は建築費、人件費、土地代という供給側コストが価格の下値を支える。販売が鈍ればデベロッパーは値下げより、供給戸数や住戸面積を調整する可能性が高い。
中古については、東京都心の一部で既に価格調整の兆しがある一方、新築との価格差から需要そのものは残る。
ただし、その中身は変容する。駅近で、管理状態がよく、修繕計画に無理がないマンションには資金が集まりやすい。一方、築年数が進み、修繕積立金が不足し、機械式駐車場やエレベーターなど高額設備を抱えるマンションは、価格を下げなければ買い手を見つけにくくなる。つまり、「中古マンション相場」という一つの数字で市場を語る意味が薄れていくのである。
住宅価格ではなく「生涯住居費」を見る時代
さらに住宅ローン金利が上昇すれば、購入者には三重苦となる。
「物件価格」「金利」「維持費」である。例えば、住宅ローン返済額が月15万円でも、管理費・修繕積立金が3万円を超え、固定資産税や駐車場代を加えれば、実際の住宅関連支出は月20万円近くまで膨らみ得る。
これまでのマンション市場は、「いくらで買い、いくらで売れるか」というキャピタルゲインの発想が強かった。だがインフレ時代には、それだけでは不十分だ。
買値が6000万円でも維持費が低く、建物管理が良好なマンションと、買値5500万円でも修繕負担が急増するマンションなら、20年間の総支払額は逆転する可能性がある。
マンション価格高騰の次にやってくるのは、マンション価格の暴落とは限らない。
むしろ訪れそうなのは、「持ち続けるのにいくらかかるのか」によって資産価値が選別される時代である。
「買えるマンション」を探してきた住宅市場は、いま「持ち続けられるマンション」を選ぶ市場へ変わろうとしている。

