(※写真はイメージです/PIXTA)

「あと少しだけ老後資金があれば……」と考えるのは、多くの定年世代に共通する思いです。しかし、ほんの少しだけ背伸びをした結果、本来叶えられるはずだった平穏な希望すら失ってしまうケースもあります。本記事では合同会社ミコサポ代表の三藤桂子FPが、Aさんの事例から老後資金を守るために知っておくべき失敗の回避策について解説します。※事例はプライバシー保護のため、一部脚色しています。

公務員を退職、2,000万円を受け取っても不安な理由

Aさんは大学卒業後に、地方公務員になりました。Aさんの就職当時は、好景気だったことから、一般的に「安定」「堅い」公務員より、「やりがい」「スキル」を求め大企業に就職したいと希望する人が多かった時代でした。

 

しかし、元来かなり心配性な性格であるAさんは、「公務員なら、景気に左右されず絶対安泰で社会的信用もある。定年まで勤められる」と、公務員の道を選びます。

 

総務省の「令和7年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によると、地方公務員の平均給与月額は平均年齢42歳で平均給与月額は41万3,968円(諸手当を含む)となっています。また、25年以上勤続後等の定年退職金は約2,200万円とされており、民間の大企業の退職金と同じぐらいの金額です。

 

Aさんの同期には、定年間際で部長以上に昇進した人もいましたが、Aさん自身は、「責任ある仕事には向いていない」と思い責任を負う立場を避けてきました。それでも、年功序列の昇進により、課長職として定年を迎えます。

 

退職時にはほかの人からすると羨まれるような2,000万円という退職金を手にしました。しかし、Aさんは老後を非常に心配しています。日々の生活自体はなんとかなるとは思っているものの、妻と温泉巡りをしたいと話しており、老後を少しばかりは豊かに過ごしたいと考えているため、「あと少し、老後資金があれば……」と考えずにはいられません。

 

真面目な夫が抱いた小さな欲

いままでコツコツと働いてきたAさん。「自分は凡人だから、公務員でよかった」と心底思っています。現役時代は、アルコールは付き合い程度、公営ギャンブル等もせずに過ごしてきました。そんなAさんですが、定年まで順調に来た一方で、1度きりの人生、1回ぐらいは背伸びしてみたいという気持ちがないわけではありません。

 

年金は約200万円。妻の年金と合わせると約300万円受け取れます。年金と退職金は、勤続年数を重ね、まじめに働いてきた結果です。住宅ローンも完済しており、日常生活は年金だけで賄っていけそうでした。

 

しかし、子どもの教育費に多くのお金を費やしてきたため、退職金を除いた貯蓄は600万円にとどまります。退職金2,000万円と合わせてもAさんには物足りなく感じられたのです。

 

「妻を連れて全国の温泉巡りをたくさん楽しみたい。もし現役時代から投資をしていたら、もう少し老後資金に余裕があったんじゃないかな……」

 

定年を機にたっぷり時間ができたことで、1度くらいは冒険をしてみたいという気持ちがAさんのなかで膨らんでいきます。

次ページ「妻を喜ばせたい、少しだけ冒険したい」それだけだったのに…

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