再開発やインバウンド需要で地価上昇が加速
国土交通省が9月15日に発表した2026年の都道府県地価調査(基準地価、7月1日時点)によると、全国の全用途平均の地価は前年比1.5%上昇し、5年連続のプラスとなった。
住宅地は1.0%上昇で前年と同じ伸び率だった一方、商業地は2.9%上昇と前年の2.8%から伸びが拡大した。景気が緩やかに回復する中、都市部の住宅需要やオフィス・ホテル需要、インバウンド(訪日外国人)の増加などが地価を押し上げた。
三大都市圏は上昇の勢いを強めた。全用途平均は4.4%上昇し、前年の4.3%を上回った。住宅地は3.2%上昇、商業地は7.4%上昇した。東京圏は全用途平均5.4%、住宅地4.0%、商業地8.9%といずれも高い伸びを示した。
大阪圏も全用途平均3.6%、住宅地2.3%、商業地6.8%となり、前年から上昇幅が拡大した。一方、名古屋圏は全用途平均1.9%、住宅地1.5%、商業地2.7%と、いずれも伸びが鈍った。
住宅地では東京圏、大阪圏の中心部でマンション需要が引き続き強い。東京23区の住宅地は8.7%上昇し、前年の8.3%から伸び率が拡大した。
品川区北品川の地点は18.8%上昇し、東京圏で住宅地の上昇率トップとなった。港区芝浦も18.7%上昇。高輪ゲートウェイ駅周辺など大規模開発が進む地域では、利便性向上への期待も地価を押し上げている。
マンション需要は依然として旺盛。東京都心3区の住宅地変動率は、昨年の13.1%から13.9%に、都心6区は12.8%から13.3%に、23区では8.3%から8.7%に伸び率が拡大しており、国土交通省では、「マンション価格の上昇に一服感があるとはいいづらい」という。
住宅地の全国変動率では、東京は品川区と港区の地点が1地点ずつトップ10に入った。
大阪でも中心部の住宅地が堅調だ。大阪市天王寺区真法院町の地点は11.2%上昇し、大阪圏の住宅地で最大の上昇率となった。都心居住ニーズや分譲マンション需要を背景に、住宅用地の取得競争が地価上昇につながっている。大阪・関西万博後は、カジノを含むIR開発が進んでおり、大阪市此花区などで地価が上がっている。
商業地ではインバウンドの回復が鮮明に表れた。上昇率首位は長野県白馬村で35.6%。前年の14.6%から大きく伸びた。同村の別の商業地点も25.9%上昇した。ホテルや宿泊施設、飲食店などへの需要が強く、住宅地でも31%を超える上昇地点がみられた。
北海道富良野市でもリゾート需要が地価を押し上げ、住宅地の1地点が32.0%上昇して全国首位となった。ホテルやコンドミニアム、従業員住宅などの需要が重なった。
沖縄県宮古島市でも住宅地の一地点が18.8%上昇するなど、訪日客や国内観光客の回復を追い風に観光地の地価上昇が続く。
東京都内の商業地も強い。全国変動率トップ10に東京都が6地点ランクインした。浅草の商業地では26.9%上昇する地点があり、別の地点でも25.0%上昇した。外国人観光客の増加を背景に店舗・ホテル需要が旺盛という。中野駅周辺では再開発への期待から商業地の一地点が25.0%上昇。新宿区ではマンション用地との競合も商業地価格を押し上げている。
大阪市でも再開発効果が広がる。「グラングリーン大阪」の開発が進む北区では商業地の一地点が21.8%上昇。中央区でもホテルや店舗需要を背景に、10%台後半の上昇地点が相次いだ。都市部ではオフィスの空室率低下や賃料上昇による収益性改善も地価を支えている。中国人観光客の落ち込みも、他のインバウンド客がカバーしている。
企業の設備投資も新たな地価上昇要因となっている。次世代半導体メーカー、ラピダスが工場建設を進める北海道千歳市では工業地の1地点が20.0%上昇。商業地でも25.2%上昇した。
熊本県菊陽町周辺でも半導体関連企業の集積を背景に工業地の上昇が続く。国交省は関連企業の工場用地のほか、従業員向け住宅やホテル、店舗など幅広い需要が地価を押し上げているとみている。


