取り戻すには「損害賠償」
では、談合によって本来より高い工事代金を支払っていた場合、管理組合はどうすればよいのだろうか。
独占禁止法25条では、違反事業者が違反行為によって損害を受けた被害者に対して損害賠償責任を負うことが定められている。
今回のような談合によって工事代金が不当に高くなったことが認められ、その結果として管理組合に損害が生じていたのであれば、管理組合側が施工業者などに損害賠償を求めることが考えられる。
ただし、「契約金額の何%が必ず損害として認められる」と決まっているわけではない。
実際にどの程度の損害が生じたのか、工事の内容や契約金額、談合による価格への影響などを踏まえて判断する必要がある。
また、独占禁止法25条に基づく損害賠償請求については、排除措置命令などが確定する前には、同条に基づく裁判上の請求をすることができないとされている。
今回の対象となった工事を発注した管理組合は、公取委の処分内容を確認したうえで、必要に応じて弁護士などの専門家に相談し、どのような請求が可能なのか、手続きや期限を確認することが重要である。
公取委の公表資料をどう使うか
今回の事件では、公取委が違反事業者や課徴金の額を公表している。また、排除措置命令の資料には、対象となった大規模修繕工事についても記載されている。
管理組合が自分たちのマンションが対象となっているかを確認する際には、まず工事の実施時期、施工業者、設計コンサル業者の名称などを確認したい。
さらに、当時の見積書や各社から提出された見積金額、最終的な契約金額、理事会などの議事録を確認することも重要である。
特に、どのような経緯で施工業者が選ばれ、各社がどのような金額を提示していたのかは、談合による損害を考えるうえで重要な資料となる。
公取委の認定によれば、受注予定者以外の施工業者が、受注予定者から伝えられた価格を参考に見積金額を提示したり、受注予定者が受注できるよう入札に参加しなかったりするケースもあった。
また、排除措置命令では、対象となった施工業者や設計コンサル業者に対し、受注した工事を発注した管理組合に、排除措置のために採った措置を通知することも命じられている。
さらに、公取委は、排除措置命令などが確定した後、被害者やその代理人から求められた場合、損害賠償請求訴訟に必要な資料として、命令書の謄本や抄本を提供する制度を設けている。
