支払いの名称ではなく、何を補うお金かで判断する
さらに、回収するお金が何を補うものなのかによっても、税務上の検討内容は変わる。
貝井税理士は、「損害賠償金」という名目で支払われても、実質は過払いとなった修繕代金の回収である場合があると説明する。税務上は、支払いの名称ではなく、過払い代金の回収なのか、追加費用や収益の減少を補うものなのか、その実質を確認する必要がある。
「『返金』『損害賠償金』『解決金』という名称だけで課税関係は決まりません。実際に何を補う支払いなのかを確認し、お金の帰属や元の支出の税務処理も踏まえて判断します」
参考となる判例として貝井税理士が挙げるのが、福岡高裁平成22年10月12日判決である。同判決は、違法な先物取引勧誘に関する和解金について、資産に生じた実損害を補う部分と、遅延損害金とを区別して課税関係を判断している。
修繕工事の談合そのものを扱った判例ではないが、支払いの名称ではなく、その実質や内訳を確認するという点で参考になる。
修繕積立金に戻せば、区分所有者に課税される?
では、談合によって回収したお金を、そのまま修繕積立金に戻した場合はどうだろうか。
貝井税理士は、回収金が管理組合に帰属し、そのまま修繕積立金として保有されるのであれば、通常、それだけで区分所有者個人に所得税が生じるものではないと説明する。
「ただし、『積立金に戻すから非課税』というより、お金の帰属を先に確認する必要があります。個人に帰属するお金を管理組合が代理で受け取る場合や、各所有者へ分配する場合は、別途検討が必要です」
ここは、区分所有者にとって重要なポイントである。管理組合が回収したお金を修繕積立金として保有する場合と、最終的に区分所有者へ分配する場合とでは、税務上の検討事項が異なる可能性がある。
そのため、実際に返金や賠償を受けることになった場合には、管理組合として「誰に帰属するお金なのか」を明確にしておく必要がある。
