フランスではなぜ源泉徴収が約100年遅れたのか? 所得税をめぐるフランス独自の事情【国際税務の専門家が解説】

フランスではなぜ源泉徴収が約100年遅れたのか? 所得税をめぐるフランス独自の事情【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

フランスが所得税の源泉徴収を導入したのは2019年のことです。ドイツが1920年に導入していたことを考えると、実に約100年の開きがあります。なぜフランスでは、これほど長い間、源泉徴収が採用されなかったのでしょうか。背景には、所得課税に対するフランス独自の考え方があります。源泉徴収の歴史をたどると、現在の国際的な課税制度にもつながる、所得税の「2つの系譜」が見えてきます。

フランスで20年以上続いた源泉徴収論争

源泉徴収を行わず、確定申告によって税額を確定する方式を採用していた国は、欧州ではフランスとスイスだけでした。もっとも、スイスでは、一時的に滞在する個人については給与から税額を差し引く方式が採用されています。スイスの居住者については、確定申告によって税額を精算する仕組みです。

 

フランスで源泉徴収の導入が20年以上にわたる議論を経て、2019年まで遅れた背景には、源泉徴収によって納税者の手取り額が減少することで、国民の支持を失うことを政府が懸念していたことがあるといわれています。

 

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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