2029年の税率引き上げの影響を緩和する可能性
2つ目は、2029年に予定されている給付付き税額控除との関係です。
同じJNN世論調査では、2年後に食料品の消費税率を再び8%に戻すことについて、「賛成」は37%、「反対」は53%でした。せっかく1%まで引き下げた税率を8%に戻すことについては、否定的な受け止めが多いことが分かります。
もっとも、2029年には給付付き税額控除の導入が予定されています。したがって、1%から8%への税率変更による家計負担の増加についても、給付付き税額控除によって一定程度緩和されることになります。
高市首相は、2029年に8%へ戻すことについて「責任を持って実施する」と明言しています。食料品の消費税率を一時的に引き下げる政策と、その後の給付付き税額控除をどのようにつなげるのかが、今後の重要な論点となります。
1%分の給付は「給付付き税額控除」の予行演習にもなる
3つ目は、今回の1%分の給付が、将来の給付付き税額控除を導入する際の一種の予行演習になる可能性です。
今後、消費税に関する税制改正大綱などで、給付に関連する具体的な制度設計が示されるものと思われます。今回の1%分の給付は、対象者の所得について、配偶者の所得や利子などの所得をどこまで考慮するのかといった複雑な条件を設けない、比較的簡便な仕組みになると考えられます。
一方、給付付き税額控除を導入する場合には、所得をどこまで把握して給付対象者を決めるのか、世帯単位とするのか個人単位とするのかなど、より詳細な要件を設定する必要があります。
その意味では、今回の1%分の給付を実施することによって、給付の仕組みや実務上の課題を確認できる可能性があります。将来の給付付き税額控除を本格的に導入するうえで、今回の制度が一つの実証的なステップになるともいえるでしょう。
食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げることは、単純な「減税」として捉えることもできます。しかし、その1%分を給付する仕組みが組み合わされたことで、今回の措置は、2029年以降の給付付き税額控除を見据えた制度設計という側面も持つことになりました。
今後注目すべきなのは、1%分の給付が実際にどのような仕組みで行われるのか、そして、その経験が給付付き税額控除の制度設計にどのように生かされるのかという点です。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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