相続税の課税割合が初の「10%超」…東京では16.2%、もはや「富裕層だけの税金」ではない【公認会計士が解説】

相続税の課税割合が初の「10%超」…東京では16.2%、もはや「富裕層だけの税金」ではない【公認会計士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

令和6年の国税庁の統計で、相続税の課税割合が10%を超えました。全国では10人に1人、東京国税局管内では約6人に1人が課税対象となっています。背景には、基礎控除の引き下げに加え、地価や金融資産価格の上昇などがあると考えられます。相続税は一部の富裕層だけの問題とはいえなくなりつつあります。国税庁の最新データから、課税割合の実態と地域差、さらに相続に備えて確認しておきたい資産構成のポイントについて、公認会計士の岸田康雄氏がわかりやすく解説します。

マンション節税にもルール変更、従来の発想は通用しにくい

近年は、マンションの相続税評価をめぐるルールも見直されています。

 

令和6年1月以後に相続などで取得したマンションについては、一定の補正が行われる仕組みが導入されました。従来のように、「マンションを購入すれば相続税評価額を大幅に下げられる」と単純に考えることはできません。物件の所在地や価格、専有面積などを踏まえ、実際にどの程度の評価額になるのかを確認する必要があります。

 

また、小規模宅地等の特例を利用できるかどうかも重要です。誰がその不動産を利用するのか、居住実態はどうなっているのかなど、個別の事情によって適用の可否が変わるためです。

相続税対策は「税額」だけでなく家族の事情まで考える

金融資産の比率が高い家庭では、相続税対策の一つとして、都心部の分譲マンションなどを取得し、子や孫の居住用として活用する方法が検討されることもあります。

 

しかし、この方法もすべての家庭に適しているわけではありません。物件の評価額だけでなく、取得資金の出所、居住実態、特例の適用可否、将来の売却可能性、管理費や修繕積立金などの維持費まで考慮する必要があります。

 

また、相続税対策を優先するあまり、必要な老後資金まで不動産に移してしまえば、本人の生活に支障をきたす可能性もあります。

 

相続税対策では、「いくら税金を減らせるか」だけでなく、「納税資金を確保できるか」「相続人の間で円滑に分けられるか」「実際に家族がその資産を必要としているか」といった点も重要になります。

早めの財産整理が、相続後の負担を減らす

相続をめぐる税制や財産評価のルールは変化しています。そのため、特定の方法だけに頼るのではなく、自分の家庭の財産状況を把握したうえで、複数の選択肢を比較することが重要です。

 

まずは財産目録を作成し、預貯金、不動産、有価証券、生命保険などを整理します。そのうえで、それぞれの名義や持分、契約関係、評価方法などを確認しておきます。

 

早い段階で相続税の概算を把握しておけば、相続が発生してから慌てて判断する場面を減らすことができます。

 

相続税が「10人に1人」を超える水準となった現在、重要なのは、単に「相続税が増えている」と捉えることではありません。

 

自分の家庭では相続財産がいくらになるのか。どの特例を利用できる可能性があるのか。そして、税負担だけでなく、納税資金や遺産分割まで含めて、どのように財産を残していくのか。

 

こうした点を早めに確認しておくことが、相続をめぐるさまざまなリスクを抑える第一歩となります。

 

 

 

岸田 康雄

公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

 

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