実家暮らしを気に入っていたが…甥っ子の「素朴な疑問」
地方都市に暮らす俊哉さん(仮名・40歳・会社員)は、実家暮らしに不満を感じたことはありませんでした。年収は560万円。残業もほとんどなく、生活には十分満足していたといいます。
両親は70代。家には毎月5万円を入れていました。社会人になってからずっと実家で暮らしてきたため、住居費や食費などを抑えることができ、その分を貯蓄や投資に回すことができました。その結果、金融資産は4,800万円を超えました。
「そのままいけば、60代で1億円も夢ではないな、と。親と一緒で不便はないし、結婚しないんだったら、あえて一人暮らしをする必要ないなと思っていたんです」
俊哉さんには弟が1人。彼は結婚して子どもも2人います。弟一家が帰省してくるのは、夏休みと正月。俊哉さんにとっても楽しみな行事でした。
実家の庭で一緒に花火をしたり、近所の公園に連れていったり。ゲームを買ってあげたり、お小遣いやお年玉を用意しておいたり……「おじちゃん、おじちゃん」と慕ってくれる2人を可愛がっていたといいます。
そんな状況が変わったきっかけは、1年前の夏だったといいます。 夕食後、家族みんなでリビングに集まっていたとき、当時小学2年生だった甥っ子が、俊哉さんに尋ねました。
「おじちゃんのお家はどこなの?」
「……ここだよ。じいじとばあばと一緒に住んでるんだよ」
悪気がないことは、俊哉さんにもよくわかっていました。少し成長した甥っ子の、子どもらしい素朴な疑問だったのでしょう。しかし、その言葉が妙に心に残ったといいます。
「それまでは、自分が実家にいても『人それぞれだから、いいじゃないか」と思っていたんです。それは今でもそう思っています。でもね、子どもからあらためて聞かれると……なんというか、自分だけ時間が止まっているような気がしてしまって」
