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決定的な対立があったわけではない…結婚生活に終止符を打ったワケ
会社を定年退職し、66歳を迎えたコウイチさん(仮名)。現役時代は世帯の稼ぎ手として専業主婦の妻と娘と息子を養ってきたものの、家庭内での孤立感や価値観のズレに悩み続けた末、定年後のセカンドライフを機に妻と別々の道を歩むことを決めました。
現役時代のコウイチさんは、毎晩遅くまで働き、週末も仕事の付き合いで外出することが多い日々を送ってきました。当時は夫婦お互いに自分の役割を果たしているつもりでしたが、長年別々のリズムで生活してきたことで、二人のあいだには少しずつ、けれど確実なズレが生じていました。
食好みの変化やテレビ番組の嗜好といった小さなことから、休日の過ごし方に至るまで、気づいたときには共通の話題がほとんどない状態。子どもたちが独立した60代目前のころには、妻との会話は必要最低限の事務連絡のみとなり、食卓を一緒に囲むこともなくなっていたのです。
決定的な対立があったわけではありません。しかし、65歳で定年を迎え、コウイチさんが一日中家にいるようになってから、その些細な違和感が日々のストレスへと変わっていきました。
コウイチさんが気を遣って買ってきたお酒やつまみが妻の好みと合わなかったり、食器を洗う手順や掃除の仕方の些細なこだわりが噛み合わなかったり。小さな食い違いでも、毎日の暮らしのなかで重なると、家庭内に重苦しい無言の空気が漂うように。お互いに悪気がないからこそ改善の糸口が見えず、同じ部屋にいること自体が負担となっていきました。
「お互いにとって、無理をして一緒に居続けることが本当の幸せなのだろうか」と悩み続けたコウイチさん。あるとき、妻から「話がある」と時間を設けられました。これまでの感謝とこれからの人生について言葉を交わすなかで、妻もまた同じような居心地の悪さと限界を感じていたようです。いがみ合うためではなく、お互いのこれからの人生を穏やかに過ごすための選択として、二人が辿り着いたのが「熟年離婚」という答えでした。