現金はあるのになぜ…?経営者が“あえて借金”をして「中古不動産」を買うワケ【税理士が解説】

現金はあるのになぜ…?経営者が“あえて借金”をして「中古不動産」を買うワケ【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

十分な手元資金があるにもかかわらず、あえて銀行から融資を受けて不動産を購入する社長は少なくありません。一見すると無駄な借金を抱えているように見えますが、法人ならではの合理的な税務戦略と資産拡大の仕組みが存在します。本記事では、税理士法人グランサーズ共同代表の黒瀧泰介氏が、経営者が知るべき「法人税の圧縮」と、手元資金を増大させる「融資のレバレッジ効果」について解説します。

経営難の際のリスクヘッジにも…会社を物理的に保護する「2段構えの保険機能」

あえて借金をして不動産を所有しておくことは、本業の業績が悪化した際の会社を守る強力な防衛手段、すなわち「2段構えの保険」としても機能します。

 

1段目の保険機能は、本業で巨額の赤字が発生した際の「売却によるキャッシュ確保」です。本業の売上が急減し、会社が深刻な資金難に陥った際、償却が終わった1億円の所有物件を売却します。

 

帳簿上は建物の価値が1円まで償却されているため、売却額の1億円は全額が法人の売却益(利益)として計上されます。通常であれば多額の法人税が課されますが、この売却益を本業の赤字とぶつけて相殺することにより、税負担をほぼ0円に抑えることができます。結果として、1億円という巨額のキャッシュがそのまま無税で会社の手元に残り、本業を立て直すための運転資金として活用できます。

 

2段目の保険機能は、物件を売却せずに保有し続けることで得られる「安定した家賃収入」です。不動産市場は景気変動の波を受けるスピードが遅いという特性があります。

 

突発的な不景気によって本業の売上が激減し、株式市場が暴落するような事態が起きても、すでに入居しているテナントや入居者の家賃が翌月から急激に下がることはありません。本業の資金繰りが苦しい局面において、毎月入金される安定した家賃収入は、会社の存続を支える命綱となります。

 

本業が好調な時期には「会計上の赤字」を生み出して法人税を抑え、本業が危機に瀕した際には「家賃収入」と「売却益の無税回収」によって会社を物理的に保護します。この完璧な防衛体制を構築できることこそが、手元にキャッシュがある優秀な社長が、あえて借金をして不動産を買い求める真の理由です。

 

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士

 

※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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