物件の家賃収入が返済負担…元現金を10年で1.75倍にする融資効果
手元に現金があるにもかかわらず、あえて借入金(融資)を利用して不動産を購入するもう1つの目的は、レバレッジ(てこの原理)を用いた自己資金の増大効果にあります。
仮に、社長の手元に4,000万円の自己資金があると想定します。この4,000万円を定期預金として銀行に寝かせておいても、超低金利の環境下ではほとんどお金を増やすことはできません。
そこで、この4,000万円を自己資金(頭金)として用意し、残りの6,000万円を銀行からの融資で賄うことで、合計1億円の賃貸用物件を購入する手法を考えます。
融資の返済期間を20年とし、年間300万円の返済が必要であると仮定します。これに対し、物件から得られる毎年のネット家賃収入(管理費、支払金利、固定資産税を差し引いたあとの手残り資金)もちょうど年間300万円であるとします。
この場合、物件が生み出す家賃収入がそのまま毎年の借入返済金に充てられるため、社長自身は追加の資金を1円も負担することなく返済を進められます。
この状態を10年間継続した際の会社のバランスシート(貸借対照表)の推移を追うと、驚くべき変化が現れます。
物件が稼ぐ家賃収入によって毎年の返済が進むにつれ、負債(借入金)の残高は毎年300万円ずつ減少します。その減少した負債の分だけ、会社が所有する不動産の純資産(持ち分価値)が自動的に毎年300万円ずつ増加していきます。
10年が経過した時点では、負債は3,000万円まで減少しており、純資産部分は「7,000万円」にまで膨らんでいます。
もともとは手元の4,000万円を頭金として差し出し、10年間そのまま寝かせていただけです。しかし、家賃収入が勝手に借入金を返済してくれた結果、自己資金の価値は4,000万円から7,000万円へと、実に「1.75倍」に増大したことになります。
不動産価格の下落を懸念する声もありますが、株式やリートといった金融商品と比較すると、現物不動産の価格変動は緩やかです。世界的な株価大暴落を引き起こしたリーマンショックの際、株価は半値近くまで激しく下落した一方、東京都内のマンション価格の下落は20%程度に留まりました。
今回の例では、10年後に物件の市場価値が30%下落して7,000万円になっていたとしても、負債が3,000万円まで減っているため、売却して手元に残る資金は4,000万円となり、頭金として支払った元本をそのまま回収できます。それ以上の下落が起きない限り、投資としては確実に手残りがプラスとなる安全性の高い設計です。
