(※写真はイメージです/PIXTA)

会社の預金を社長に移す。新しい会社をつくり、取引先からの売上をそちらに振り込ませる。あるいは、財産を海外に移してしまう――。税金を滞納した後にこうした動きをしても、国税当局から逃れられるとは限らない。国税庁がこのほど公表した「令和7年度租税滞納状況の概要」には、滞納企業の財産がどこへ移ったのかを追跡し、訴訟や第二次納税義務の賦課、さらには刑事告発にまで踏み込んだ事例が紹介されている。そこから見えてくるのは、単に「税金を払っていない会社」を相手にするだけではない、現在の滞納整理の実態だ。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

「新しい会社に売上を移せば」と考えた社長

そして、今回の事例のなかでも特に生々しいのが、新しい会社を使って売上を移していたケースである[図表4]

 

[図表4]令和7年度租税滞納状況の概要より(国税庁)

 

税務調査の後、関係する税理士から「財産を差し押さえられる可能性がある」と伝えられた滞納法人の代表者は、会社の銀行口座から現金を引き出し、自宅で保管していた。

 

さらに代表者は、自らが実質的に支配する新しい法人を設立する。

 

ここから、資金の流れが変わる。

 

本来であれば滞納法人が受け取るはずだった解体工事の代金について、代表者は取引先に対して、新しく設立した法人へ支払うよう求めた。そして、その売上を新法人が受け取っていた。

 

滞納している会社に売上を入れなければ、会社の財産を増やさずに済む。新しい会社に売上を入れれば、事業を続けながら滞納会社の財産を少なくできる――。そう考えたとしても不思議ではない。

 

しかし、国税当局はその資金の流れを追った。代表者が滞納処分を免れるために財産を隠すなどしたと判断し、代表者を滞納処分免脱罪で告発した。

 

令和7年度に、滞納処分免脱罪に関して告発された事例は9件、対象となった者は14人・法人。前年度の6件、8人・法人から増加している。

 

ここでは、「新会社をつくったこと」そのものが問題なのではない。問題になったのは、滞納処分を免れるために、滞納法人が本来受け取るべき売上を新法人に移すなどしたと国税当局が判断した点にある。

次ページ国税当局が見ているのは「財産の行方」

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧