財産を海外に移しても、徴収の手は伸びる
では、国内から海外へ財産を移してしまえばどうだろうか。
国税庁が進めているのが、外国の税務当局との「徴収共助」である。租税条約などに基づき、日本の国税当局が外国の税務当局に滞納税の徴収を依頼したり、逆に外国からの依頼を受けて日本国内で徴収したりする仕組みだ。
国税庁が紹介する事例では、日本の納税者が所得税や消費税を滞納したまま国外へ出国。その後、日本の国税当局が外国の税務当局に徴収を要請したところ、現地の税務当局が徴収手続を開始した。
その後、日本に再入国していた納税者は、財産を差し押さえられることを避けるため、滞納していた税金を自主的に納付したという[図表3]。
逆に、外国の税務当局から日本に対して徴収の依頼が寄せられるケースもある。令和7年度には、日本から外国への徴収共助の要請が22件、外国から日本への要請が7件あった。制度が始まった平成25年10月からの累計では、それぞれ146件、38件となっている。
かつてのように「海外に出れば税務当局の手が届かない」という発想は通用しにくくなっている。国境を越えて財産や納税者を追うための仕組みも、すでに動いている。

