(※写真はイメージです/PIXTA)

会社の預金を社長に移す。新しい会社をつくり、取引先からの売上をそちらに振り込ませる。あるいは、財産を海外に移してしまう――。税金を滞納した後にこうした動きをしても、国税当局から逃れられるとは限らない。国税庁がこのほど公表した「令和7年度租税滞納状況の概要」には、滞納企業の財産がどこへ移ったのかを追跡し、訴訟や第二次納税義務の賦課、さらには刑事告発にまで踏み込んだ事例が紹介されている。そこから見えてくるのは、単に「税金を払っていない会社」を相手にするだけではない、現在の滞納整理の実態だ。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

財産を海外に移しても、徴収の手は伸びる

では、国内から海外へ財産を移してしまえばどうだろうか。

 

国税庁が進めているのが、外国の税務当局との「徴収共助」である。租税条約などに基づき、日本の国税当局が外国の税務当局に滞納税の徴収を依頼したり、逆に外国からの依頼を受けて日本国内で徴収したりする仕組みだ。

 

国税庁が紹介する事例では、日本の納税者が所得税や消費税を滞納したまま国外へ出国。その後、日本の国税当局が外国の税務当局に徴収を要請したところ、現地の税務当局が徴収手続を開始した。

 

その後、日本に再入国していた納税者は、財産を差し押さえられることを避けるため、滞納していた税金を自主的に納付したという[図表3]

 

[図表3]令和7年度租税滞納状況の概要より(国税庁)

 

逆に、外国の税務当局から日本に対して徴収の依頼が寄せられるケースもある。令和7年度には、日本から外国への徴収共助の要請が22件、外国から日本への要請が7件あった。制度が始まった平成25年10月からの累計では、それぞれ146件、38件となっている。

 

かつてのように「海外に出れば税務当局の手が届かない」という発想は通用しにくくなっている。国境を越えて財産や納税者を追うための仕組みも、すでに動いている。

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