(※写真はイメージです/PIXTA)

会社の預金を社長に移す。新しい会社をつくり、取引先からの売上をそちらに振り込ませる。あるいは、財産を海外に移してしまう――。税金を滞納した後にこうした動きをしても、国税当局から逃れられるとは限らない。国税庁がこのほど公表した「令和7年度租税滞納状況の概要」には、滞納企業の財産がどこへ移ったのかを追跡し、訴訟や第二次納税義務の賦課、さらには刑事告発にまで踏み込んだ事例が紹介されている。そこから見えてくるのは、単に「税金を払っていない会社」を相手にするだけではない、現在の滞納整理の実態だ。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

「会社にはもう財産がない」では終わらない

会社の資金が代表者に移るケースでは、さらに踏み込んだ対応が取られることもある[図表2]

 

 

[図表2]令和7年度租税滞納状況の概要より(国税庁)
 

滞納法人の代表者が帳簿を作成せず、関係書類を意図的に廃棄したうえ、法人の資金を私的に流用していた。

 

その後、税務調査によって申告漏れが明らかになり、期限後申告が行われた。しかし、税務当局が税額を決定した時点では、すでに会社には納税に充てる資金が残っていなかった。

 

そこで国税当局は、代表者による不正な行為によって法人の財産が減少し、その結果として滞納が生じたと判断した。そして、法人から資金の移転を受けていた代表者に対し、「第二次納税義務」を賦課した。

 

第二次納税義務とは、一定の要件に該当する場合、滞納している本人だけでなく、その者と一定の関係にある者などにも納税義務を負わせる制度だ。

 

この事例が示すのは、会社の財産を代表者側へ移して会社の手元から資金をなくしたとしても、それで納税義務まで消えるわけではないということだ。むしろ、その資金移動そのものが、滞納に至った経緯として調べられることになる。

次ページ財産を海外に移しても、徴収の手は伸びる

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