「いまの価格」で課税する日本、「買った価格」が基本の米国――ロサンゼルスで浮かび上がる不動産課税の意外な影響【国際税理士が解説】

「いまの価格」で課税する日本、「買った価格」が基本の米国――ロサンゼルスで浮かび上がる不動産課税の意外な影響【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

ロサンゼルス周辺の不動産価格は、ここ数十年にわたって上昇を続けています。特にここ5~6年だけを見ても、50%以上値上がりした地域は少なくありません。ところが、不動産価格がこれだけ上昇しているにもかかわらず、地方税である固定資産税(Property Tax)の収入は、それほど大きく増えていません。これは、日本とアメリカでは固定資産税の仕組みが大きく異なるためです。

集合住宅の取引が大幅に減少

このため、ロサンゼルス市では集合住宅の取引や建設にも影響が及んでいます。

 

ULA導入後の3年間で、集合住宅区画の販売が65%減少したとの試算もあります。

 

ロサンゼルスでは以前から住宅不足が深刻な問題となっており、数十万戸規模の住宅が不足しているとも指摘されています。そこに不動産取引を抑制する税制が加われば、住宅供給にも影響を与えかねません。

 

つまり、住宅不足を解消するために集合住宅を増やしたい一方で、売買時に大きな税負担が生じることで、投資や開発が慎重になるという、皮肉な状況が生まれているのです。

税収を増やすはずの税制が、別の税収を減らす?

さらに興味深いのは、ULAがロサンゼルス市の財政にも思わぬ影響を与えていることです。

 

不動産取引が減れば、新たに高い評価額で課税される不動産も増えません。すると、固定資産税収入の増加も抑えられることになります。

 

ハーバード大学の研究による試算では、ULAによって、本来であれば増加していたはずの固定資産税収入の約80%が失われているとの指摘もあります。

 

売却時の税収を増やそうとして導入した税制が、不動産取引そのものを減少させ、その結果として将来の固定資産税収入まで抑えてしまう可能性があるわけです。

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