「いまの価格」で課税する日本、「買った価格」が基本の米国――ロサンゼルスで浮かび上がる不動産課税の意外な影響【国際税理士が解説】

「いまの価格」で課税する日本、「買った価格」が基本の米国――ロサンゼルスで浮かび上がる不動産課税の意外な影響【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

ロサンゼルス周辺の不動産価格は、ここ数十年にわたって上昇を続けています。特にここ5~6年だけを見ても、50%以上値上がりした地域は少なくありません。ところが、不動産価格がこれだけ上昇しているにもかかわらず、地方税である固定資産税(Property Tax)の収入は、それほど大きく増えていません。これは、日本とアメリカでは固定資産税の仕組みが大きく異なるためです。

ロサンゼルスでは「売買」が固定資産税収入を左右する

この制度を地方自治体の側から見ると、興味深い構造が見えてきます。

 

不動産が売買され、新しい所有者が取得すれば、その時点の購入価格を基準として評価額が更新されます。つまり、不動産価格が上昇している地域では、新しい所有者が増えるほど固定資産税収入も増えやすくなります。

 

ところが、ロサンゼルスでは、こうした不動産取引を抑制しかねない別の税制が導入されています。

 

それが、ロサンゼルス市(City of Los Angeles)の不動産売買に適用される「Measure ULA」です。一般に「Mansion Tax(マンション税)」と呼ばれています。

 

ここでいう「Mansion」は、日本でいう分譲マンションのことではなく、超高額な住宅などを指します。

「Mansion Tax」が不動産取引を抑制

Measure ULAは、一定額を超える不動産の売却に対して追加の課税を行う制度です。

 

売却価格が540万ドル(約8億6000万円)以上1090万ドル(約16億円)未満の場合は4.0%、1090万ドル以上の場合は5.5%の追加課税が課されます。

 

しかも、この税率は基準額を超えた部分だけにかかるのではなく、売却価格全体にかかります。そのため、高額不動産を売却する側にとっては、大きな負担となります。

 

そして、この制度の影響を大きく受けているのが、超豪邸だけではありません。

 

実は、アパートメントなどの集合住宅も大きな影響を受けています。ロサンゼルス市内で集合住宅を一棟売却すると、売却価格が540万ドルを超えるケースは珍しくありません。つまり、住宅の売買であっても、売却価格によってはULAの対象となる可能性があります。

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