「あんたに言うと大ごとになるから…」いつも電話で元気いっぱいの年金11万円・82歳独居母を訪ねた53歳息子、実家の風呂場で見つけた〈大問題〉【FPが解説】

「あんたに言うと大ごとになるから…」いつも電話で元気いっぱいの年金11万円・82歳独居母を訪ねた53歳息子、実家の風呂場で見つけた〈大問題〉【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

仕事もプライベートも忙しく、実家には「正月と盆に帰れればいいほう」という人は多いでしょう。しかし、電話越しの高齢親の声は元気でも、実際に目にすると驚くような変化が起こっている可能性も……。佐々木健太さん(仮名)の事例とともに、帰省で確かめたい実家のSOSのサインについて、波多FP事務所の波多勇気氏が解説します。※紹介する事例は、相談者より許可を得て、プライバシー保護の観点から相談者の個人情報および相談内容を一部変更して記事化しています。

「シャワーで十分」…半年ぶりの実家で気づいた“母の異変”

千葉県に住む会社員・佐々木健太さん(53歳)は、今年の夏季休暇に、愛媛県の実家に帰省しました。妻の由紀さん(仮名/50歳)と高校2年生の娘を連れ、羽田空港から飛行機と車を乗り継いで、半日がかりの道のりです。

 

実家には、母の和子さん(仮名/82歳)が一人で暮らしています。10年前に父を亡くしてからは、ずっと一人。健太さんは月に2回ほど電話をかけていましたが、和子さんの声はいつも張りがあって、「こっちは元気よ、心配せんでええ」が口ぐせでした。

 

「だから、正直なところ油断していたんです。年に数回しか帰らないくせに、電話で元気そうだから大丈夫だと思っていた」

 

しかし今回、半年ぶりに実家に到着した瞬間、健太さんは小さな違和感を覚えました。庭の草が膝の高さまで伸びているのです。玄関の隅には封を切っていない郵便物が積まれ、仏壇の花は枯れかけています。

 

それでも和子さんは明るく孫を出迎え、即座に冷えた麦茶を出してくれました。健太さんは「歳をとれば、そんなものか」と、このときは自分に言い聞かせました。

 

しかしその夜、もっと変なことが。家族を順番に風呂に入らせようと浴室のドアを開けても、湿った臭いがまったくしないのです。浴槽はカラカラに乾き、排水の栓は上がったまま。ふたの上には洗濯ばさみの籠が置きっぱなしで、しばらく前からここを開けていないことが一目でわかりました。浴槽をこするスポンジも、洗い場の隅で干からびたままです。脱衣所の棚の上には、正月に健太さんが土産に持たせた入浴剤の箱が、封も切られずに埃をかぶっていました。

 

一方で、シャワーヘッドのまわりだけは水垢がついており、母は湯船を避け、シャワーだけを浴びていることがわかりました。

 

「お母さん、湯船浸かってないの?」

 

台所に戻って聞くと、和子さんは笑って言いました。

 

「暑いけん、シャワーで十分よ。お湯を沸かすのももったいないしね」

 

その笑顔が、健太さんにはどうしても引っかかりました。

 

 

次ページ母親が湯船を避けていた「本当の理由」

※プライバシーのため、実際の事例内容を一部改変しています。

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