「親父、年金だけで大丈夫なのかな」
会社員のAさん(47歳)は妻と高校生の娘との3人暮らし。Aさんの母親は5年前に他界しており、父親は地方の実家で一人暮らしをしていました。
父親は会社員として長く働き、現在の主な収入は年金のみです。実家は持ち家で住宅ローンもありません。それでもAさんには、以前から気がかりなことがありました。
「母が亡くなってから、父が急に節約するようになったんです。『電気代が高い』『最近はなんでも高い』とよくいっていて。年金だけで生活できているのか心配でした」
そこでAさんは4年ほど前から、毎月5万円を父親の口座へ振り込むようになりました。年間60万円。決して小さな金額ではありません。Aさん自身にも住宅ローンがあり、娘はこれから高校、大学と進学を控えています。
それでも、「自分をここまで育ててくれたんだから、今度は自分が助ける番だ」という思いがあったそうです。
最初に5万円を振り込んだとき、父親から電話がありました。
「こんなことしなくていい」
Aさんは笑って答えました。
「いいから。生活費に使ってよ」
父親はしばらく黙ったあと、「そうか。ありがとう」とだけいいました。それ以降、Aさんは毎月欠かさず5万円を振り込み続けました。
「不穏なメッセージ」が届いた3日後、父死去
それから約4年。ある夜、79歳になった父親からAさんのスマートフォンに短いメッセージが届きました。
「今月から、もういらないよ。今までありがとう」
Aさんは少し気になりました。すぐに電話をかけましたが、出ません。すでに夜も遅かったため、「寝ているのかな。また明日電話すればいいか」と、その日はそのままにしたそうです。
翌日も仕事に追われ、電話をすることを忘れてしまいました。そして、その2日後。Aさんのもとに、父親が亡くなったとの連絡が入りました。
あまりにも突然の出来事に、Aさんはしばらく現実を受け止められなかったといいます。そして頭から離れなかったのが、最後に届いた一文でした。
なぜ、突然そんなメッセージを送ってきたのか。Aさんには、その意味がわかりませんでした。
