「新型コロナの時代」が日本社会に残したもの
この数年間は、日本社会にとって「新型コロナの時代」と呼ぶにふさわしい特別な期間でした。テレビでは感染症の専門家が連日のように出演し、毎日の感染者数が報じられ、その数字に一喜一憂したことを覚えている人も多いでしょう。
また、店頭からマスクが消え、人々が購入のために列をつくった光景や、ワクチン接種会場で順番を待つ長い行列は、この時代を象徴する出来事として記憶されることでしょう。こうした光景は、1970年代のオイルショック時に起きた「トイレットペーパー騒動」と並び、後世に語り継がれる出来事になるのかもしれません。
一方で、新型コロナは日本社会に多くの教訓も残しました。感染症への備えの重要性はもちろんのこと、危機に直面した際の行政の対応、医療提供体制の在り方、そして経済活動と感染防止をどのように両立させるかという課題も浮き彫りになりました。
税制の面では、納税猶予や各種給付金など、緊急時に国民や企業を支える制度の重要性が改めて認識されました。また、リモートワークやオンライン化の普及は、感染症対策として始まった取り組みでありながら、現在では企業活動や私たちの生活に欠かせないものとなっています。
社会が平穏を取り戻した今だからこそ、新型コロナの時代を単なる過去の出来事として忘れてしまうのではなく、その経験から何を学び、今後にどう生かしていくのかを考えることが重要です。
「新型コロナの時代」は、多くの命と日常を奪った一方で、日本社会の制度や働き方、価値観を大きく変えた歴史的な転換点でもありました。その経験は、次の感染症や大規模災害など、将来の危機に備えるための貴重な財産として受け継がれていくことになるでしょう。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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