息子に大きな影響を与えた尊敬する父
Aさんは、両親と弟が1人。母からは「お父さんは商社に入社してからずっと同じ会社に勤め、部長まで昇進した」と聞いていました。Aさんが幼少のころ、土日も出社している父の姿を見ては、「家族のために頑張ってくれているんだ」と心から尊敬してたのです。そんな父は、一度も会社で働いたことがない母に配慮してか、毎月決まった生活費を母に渡し、自ら家計管理まで担っていることも母から聞いていました。
Aさんは父のようになりたいと勉強を頑張り、大学卒業後はIT会社へ就職。その後、取引先で知り合った女性と結婚しました。妻は「近ごろは共働き夫婦が多くなっているし、将来、子どもが生まれたときの教育費や家の購入資金を考えると、私も仕事を続けたい」と、結婚後も働き続けることを希望。Aさんは、自身の母が専業主婦だったこともあり、共働きに不安がありましたが、「確かに、昔と今では、働き方も多様化しているし、会社の先輩からも、『そのうちわかるだろうけど、子どもの教育費は大変だ』と聞いたしな」と、賛成します。
Aさんが35歳になった年、父は60歳。還暦と定年という人生の節目を迎えます。いまは本人が希望すれば、65歳まで働くことができるようになっているので、部長という肩書はなくなりますが、これまでと同じ会社で再雇用として働くことができます。
このころ、Aさんは仕事が忙しくなっていたので、なかなか実家に帰省できずにいました。そのため、父が定年後にどのような働き方を選んだのか、知らずにいたのです。
