(※画像はイメージです/PIXTA)

遠方に暮らす高齢の親と、都市部で子育てに追われる子世代。久しぶりの再会を楽しみに訪ねたはずが、理解しがたいすれ違いから、関係が悪化してしまうケースは少なくありません。ある母親の実例から、双方が傷つかない「現代の親子関係のあり方」を考えます。*本記事は、複数の家族への取材を基に、個人が特定できないよう再構成しています。

「孫の中学合格」のお祝いに、久しぶりの東京へ

「おばあちゃん、第一志望の中学校に受かったよ!」

 

電話口で元気に報告してくれた孫の声に、地方で一人暮らしをする佐藤みどりさん(71歳/仮名)は思わず目頭を熱くしました。夫を6年前に亡くして以来、みどりさんの生きがいは、東京に住む息子家族からの便りだけでした。

 

現在の生活を支えているのは、遺族年金とあわせた月約14万円の公的年金です。毎月の生活費は約13万円前後に抑え、質素な暮らしを心がけていました。

 

「お祝いを直接手渡したいし、久しぶりに孫の顔が見たい」

 

そう考えたみどりさんは、都内のタワーマンションで暮らす長男夫婦の家を訪ねることにしました。合格祝いには、何かあったときにと貯めておいた「現金10万円」と、地元のデパートで時間をかけて選んだ「人気ブランドのスポーツリュック」を用意しました。

 

新幹線に乗り込み、たどり着いたのは、都内有数の再開発エリアにあるタワーマンション。購入価格は1億円を超えると聞いていました。ホテルのような豪華なロビーを通って、大きなエレベーターで上階へ。部屋に入ると、東京湾とレインボーブリッジが見えました。

 

「お義母さん、遠いところ、ようこそいらっしゃいました」

 

義理の娘は笑顔で迎えてくれました。しかし、どこか接客のような丁寧さに、みどりさんは少しだけ緊張感を覚えました。

次ページ部屋の隅に置かれた「スポーツリュック」

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