「来年なら行けるかも」孫を待って3年延ばした北海道旅行
「北海道、今年はどうする?」
春先、夫の和彦さん(仮名・69歳)に聞かれ、美代子さん(仮名・69歳)はカレンダーを開きました。
夫婦はともに会社員として働き、現在は退職しています。年金は2人合わせて月約32万円。住宅ローンを完済したマンションで暮らし、金融資産は約4,800万円あります。
現役時代から旅行が好きで、退職後は「時間を気にせず、いろいろなところへ行こう」と話していました。
なかでも楽しみにしていたのが北海道です。
きっかけは、3年前。当時小学生だった娘の子ども2人が遊びに来た際、「北海道でラベンダーを見たい」と話したことでした。
美代子さんはすぐに、「じゃあ、今度みんなで行こう」と約束。娘夫婦も含めた6人での旅行を考え始めます。
ところが、その年の夏は孫の習い事と日程が合いませんでした。翌年には上の孫が中学生になり、部活動が始まります。
「夏休みなら行けると思っていたんです。でも今の子って、夏休みでも予定がいっぱいなんですね」
美代子さんは苦笑します。
娘からは「今年は難しいかも。来年なら行けるかな」と言われました。夫婦は旅行を翌年へ延期しました。
その次の年も、状況は似たようなものでした。部活動に塾、娘夫婦の仕事。全員が3泊、4泊と予定を空けられる日はなかなか見つかりません。
「せっかく北海道に行くなら、孫たちと行きたい」
そう考え、夫婦だけで行くことはありませんでした。
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』では、今後優先的にお金を使いたいものとして「趣味やレジャー(旅行等)の費用」を挙げた人は32.4%。一方、「子や孫のための支出(学費、こづかい等)」も25.8%に上ります。配偶者やパートナーがいる人では、子や孫のための支出を挙げた割合は30.1%でした。高齢期のお金の使い道として、自分たちの楽しみと子や孫の双方を重視する人がいることが分かります。
そして今年。美代子さんが娘に「夏、北海道どうかな」と聞くと、返ってきたのはこんな言葉でした。
「今年も難しいと思う。2人で行ってきたら?」
美代子さんは、その言葉に少し寂しさを感じたといいます。ところが隣で聞いていた和彦さんは、しばらくしてこう言いました。
「そうだよ。今年、夫婦だけで行こう」
