【真相】節税ではなく「不動産担保ローン」のための名義変更
そこで判明したのは、息子の語っていた「親思いの節税」とは真逆の恐ろしい現実でした。
そもそも、Aさん夫婦の資産(貯蓄1,000万円と郊外の実家)では、Bさんがネットで調べたとおり、相続税の基礎控除(配偶者と子ども1人の場合4,200万円)の枠内に収まる可能性が高く、最初から高額な相続税など発生しない状況でした。
「お宅の資産規模で、今わざわざ費用をかけて生前贈与をする合理的理由はないように思います。名義を変えると、ご長男がその実家を売却したり、担保に入れたりすることが法的に可能になりますが、本当にご納得されていますか?」
Cさんに対し、Aさん夫婦は司法書士から聞いた言葉をそのまま突きつけました。
「我が家には相続税なんてかからない。お前、本当はこの家を担保にして、金を借りるつもりなんじゃないだろうな?」
Cさんは、これ以上親を騙すことはできないと観念したのか、良心の呵責にもかられたのか、真実を話し出しました。
実はCさんは、本業の傍らで行なっていた高リスクな投資で多額の借金を抱えており、返済に行き詰まっていました。自身の信用力ではこれ以上の借入れができないCさんは、「実家の名義を自分に変え、その実家を担保にしてノンバンクから高額な不動産担保ローンを引き出し、借金を一本化して穴埋めする」という計画を立てていたのです。
「もし、あのまま実印を押して、権利証や印鑑証明書を渡して所有権移転登記が完了していたら、息子がローンの返済に行き詰まった瞬間、この家は競売にかけられ、私たちは70代にして追い出されているところでした」(Aさん)
孫のDくんを連れた微笑ましい帰省も、両親への親切な態度も、すべては「親を安心させ、実印と権利証を出させるため」だったのです。
