「父さんたちのために…」節税を提案してきた長男の優しさ
「まさか、あの子が私たちの老後を奪おうとしていたなんて……」
首都圏の郊外にある閑静な住宅街に暮らすAさん(75歳/元新聞社勤務)と妻のBさん(71歳)。
夫婦の収入は合わせて月約24万円の年金です。約1,000万円の貯蓄があり、夫婦二人で静かな老後を送っていました。そんな二人のもとに、都心の大手企業に勤める長男のCさん(36歳)が、夏休みを利用して、孫のDくん(6歳)を連れて帰省してきました。
「妻は仕事で忙しいから、俺と息子で遊びにきたよー」
滞在中、Cさんは老いた両親を気遣い、庭の手入れをしたり、重い荷物の買い物を率先して手伝ったり、一生懸命、家の仕事を手伝いました。
しかし、お盆が過ぎた頃、Cさんは「ある提案」を持ちかけるようになりました。
「父さんも75歳だろ。そろそろ相続のことを考えないと。将来、すごい相続税が取られちゃうから。今のうちに実家の名義を『生前贈与』で移しておこう。制度を使えば贈与税もかからないし、手続きの費用も俺が払うから」
長男のCさんは優しく「俺を頼ってくれ」という顔で税金の話をし、贈与契約書や登記申請に必要な書類を差し出し、実印の押印と「印鑑登録証明書」の準備を求めてきました。
