(※画像はイメージです/PIXTA)

高齢夫婦にとって、子や孫の帰省は何よりの楽しみです。しかし、その微笑ましい一家団欒の裏で、「相続税対策」を口実にした実家の名義変更(生前贈与)を迫られるトラブルが、弁護士や司法書士の相談現場で目立っています。今回紹介する70代夫婦は、夏休みに帰省したきた長男の「良かれと思って提案した節税対策」に違和感を抱きました。そして、専門家に相談したことで発覚した、“優しすぎる提案”の正体とは? 現代における実家依存の実態と、親世代が資産を守るための現実的な防衛策について解説します。*本記事は、弁護士・司法書士の相談で見られる事例を基に、個人が特定できないよう再構成しています。

「親心」につけ込み、合法的な手続きを装う名義奪取の罠

「Dくん(孫/6歳)のためにも、実家をしっかり守っていきたい」

 

そう語るCさんの熱意に押され、Aさんは「息子の言うとおりにしておいた方がいいのかもしれない」と、権利証(登記識別情報)や実印を渡しかけていました。

 

しかし、妻のBさんは「なにかがおかしい」と思い、スマートフォンで詳しく調べてみることにしました。

 

「息子は『費用は俺が持つから』と言い張るのですが、ネットで調べてみると、名義変更には登録免許税や不動産取得税などで数十万円はかかることがわかりました。お金を払ってまで、なぜそこまで急いで実家の名義を変えたがるのか、……最初はそれも私たちのためなのかな、そのほうが得なのかな、とも思ったのですが、さらに調べてみると、そもそもうちの資産では相続税なんてかからないことがわかって、不信感が芽生えました」(Bさん)

 

このことをCさんに聞いてみると、言葉を濁し、部屋に書類を残したまま逃げるように外出してしまいました。胸騒ぎがしたBさんは、地元の司法書士事務所へ相談に駆け込みました。

次ページ【真相】節税ではなく「不動産担保ローン」のための名義変更

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