給付の効果は十分に検証されているのか
さらに、政府は給付政策について、その経済効果や政策効果を十分に検証し、国民に説明してきたとは言い難い状況です。給付は一定額の現金を支給する政策であり、受け取る側には一時的な恩恵があります。しかし、「現金を配れば景気や生活が改善する」という考え方が、どこまで実証されているのかは明確ではありません。
例えるなら、十分な余裕のない家計を抱える親が子どもに小遣いを渡すようなものです。親は小遣いを渡したことで役目を果たしたと感じる一方、そのお金が何に使われ、生活全体の改善につながったのかまでは十分に把握していない――そのような状況にも似ています。
求められるのは税と社会保障の将来設計
では、減税と給付をどのように考えるべきでしょうか。
国民にとって本当に重要なのは、一時的な減税や給付ではなく、将来にわたって年金や医療、介護などの社会保障制度が持続可能な形で維持され、安心して生活できる環境が整うことです。そのためには、政府が税制と社会保障の将来像を具体的に示し、国民が中長期的な見通しを持てるようにすることが不可欠です。
目先の減税か給付かという議論に終始するのではなく、税制と社会保障を一体としてどのように設計していくのか、その将来ビジョンを立法措置などを通じて明確に示すことが求められます。その道筋が示されれば、現在のような減税と給付を巡る対立も、一定程度解消される可能性があります。
減税と給付をどのように考えるべきか
国民にとって本当に重要なのは、一時的な減税や給付ではなく、将来にわたって年金や医療、介護などの社会保障制度が持続可能な形で維持され、安心して生活できる環境が整うことです。そのためには、政府が税制と社会保障の将来像を具体的に示し、国民が中長期的な見通しを持てるようにすることが不可欠です。
目先の減税か給付かという議論に終始するのではなく、税制と社会保障を一体としてどのように設計していくのか、その将来ビジョンを立法措置などを通じて明確に示すことが求められます。その道筋が示されれば、現在のような減税と給付を巡る対立も、一定程度解消される可能性があります。
現状では、政府も野党も、それぞれの政策の目的や財源、将来の制度設計について十分な説明を尽くしているとはいえません。
減税と給付のどちらを選ぶかという議論だけでは、国民の不安は解消されません。将来の税負担や社会保障の姿を含めた全体像を示し、その上で政策を選択する理由を丁寧に説明することこそ、いま政治に最も求められている姿勢ではないでしょうか。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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