「夫婦だから大丈夫」が一番危ない…お金の見える化が老後を守る
家計を別々に管理する夫婦は珍しくありません。共働き世帯では、お互いが一定額を生活費として負担し、それ以外は自由に使うというスタイルも広く見られます。
一方で、相手の収入や支出をほとんど知らないまま長年過ごしている夫婦も少なくありません。金融広報中央委員会(現・J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」を見ても、家計管理の方法は家庭によってさまざまであり、夫婦間で資産状況を十分共有していないケースも散見されます。
また、日本貸金業協会の2019年の調査では、消費者金融の利用理由として「生活費」「趣味・娯楽費」「他社借入の返済」などが挙げられており、返済のために新たな借り入れを行う、いわゆる自転車操業に陥る人も少なくありません。今回の事例のように、配偶者に秘密にしながら消費者金融やクレジットカードのリボ払いを合わせて借金が巨額に膨れ上がっている人は年齢を問わず発生しているのが現状です。
もちろん、家計を一つにまとめることだけが正解ではなく、双方が自律して収支を管理できているのであれば、各自で管理する方式にも合理性があります。
しかし、もし自分に「家計管理が苦手」という自覚があるならば、対策をしましょう。「自由に使えるお金はいくらまでか」「借り入れはないか」「資産はいくらあるのか」といった最低限の情報は共有・管理しておく必要があります。それでも使い過ぎてしまうようならば、クレジットカード決済は固定費のみにして、普段の買い物は現金払いのみに切り替える方法が有効です。目に見えて現金が減っていく様子を物理的に目視できるようにすることで、歯止めをかけやすくなります。
当然、お互いに干渉されたくない支出もあることでしょうが、それはお互いに「自由に使っていいお金」としてあらかじめ決めておけばよいものです。
特に、老後は収入が限られます。現役で収入があれば修正も利きやすいものですが、老後に入る前に、夫婦がお互いの家計を「見える化」し、定期的に確認し合うことが、安心してセカンドライフを送るための第一歩となるでしょう。
今回のケースでは、幸いにも老後資金には余裕がありましたが、「夫婦がお互いの経済状況を知らなかったこと」が大きな問題を引き起こしました。長年連れ添った夫婦であっても、お金の価値観や使い方は異なります。「相手を信用しているから確認しない」のではなく、「信用しているからこそ情報を共有する」という姿勢が重要です。
退職は、家計を見直す絶好のタイミングでもあります。収入が年金中心に変わる前に、資産や負債、毎月の支出、将来必要となる資金を夫婦で確認し合うことで、多くのトラブルは未然に防ぐことが可能です。夫婦がお互いに安心して暮らし続けられるように、まずはお金の流れを見える化することが、豊かな老後の第一歩です。
小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー
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