貯蓄1,000万円、2階には「無職」の42歳息子が一人
山本秀一さん(76歳)は、妻の幸子さん(仮名/72歳)、42歳になる一人息子の健吾さん(仮名)と、地方都市の一戸建てで暮らしています。
大企業のグループ会社を定年まで勤め上げた秀一さん。現在は、公的年金を幸子さんと合わせて月24万円ほど受け取っています。預貯金や生命保険などを合わせた金融資産は約1,000万円あり、住宅ローンはすでに完済しています。
一方、2階で暮らしている健太さんには定職がありません。朝は遅くまで寝ていて、夜になればテレビゲームをしたり動画を観たり。時折外出したかと思えば、昼間には帰ってくることもありました。
以前は会社員として営業の仕事をしていて、家庭も持っていました。しかし離婚後、しばらくして会社を退職。10年前に実家へ戻り、現在のような生活になったのです。
もっとも、健吾さんは完全になにも働いていないというわけではありません。ときどき自室からオンラインミーティングをしているような声が聞こえますし、毎月5万円を生活費として家に入れています。
「なにか仕事をしている」とは本人から聞いていたものの、秀一さんにはどうしても息子が「働いている」ようには見えませんでした。
「俺たちが死んだあと、あいつはどうやって生きていくんだ……」
加えて、秀一さん自身も老後のお金に不安を抱えていました。「老後2,000万円必要」「人生100年時代」といったニュースを見るたび、「うちは1,000万円しかない」と心配になります。そのため、夫婦は70歳を過ぎた現在もアルバイトを続け、2人合わせて月6万円ほどを稼いでいました。
年金24万円、アルバイト6万円、息子から5万円、合計で毎月35万円ほどの収入があるにもかかわらず、秀一さんの口癖はいつしか、「老後のお金が心配だ」になっていました。
