指導とハラスメントのあいまいな境界線
北野さんが部下から逆パワハラを受けたのは2024年の秋。中小企業を含め、企業のハラスメント対策が義務化されてから2年以上が経っていました。
本来であればハラスメントの定義が明確になり、一人ひとりが「これはハラスメントに該当するのだろうか」と迷う必要はなくなるはず。しかし、北野さんは「少しでも強く言えば問題になる」と悩み、部下に対して必要な指導をすることができなくなってしまったのです。
厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査について(令和5年度調査)」によると、勤務先の企業がハラスメント対策に取り組んでいると回答した人のなかで、部下への指導のしやすさについて「変わらない」「悪化した」と回答した人が70%を超えています。
また、過去3年間に各ハラスメントの相談があったと回答した企業のなかで、相談の割合がもっとも高かったのが「パワハラ」です。パワハラについて、「過去3年間に相談件数が増加している」と回答した割合が19.6%、「変わらない」が30.2%、「減少している」が21.8%でした。
これらのデータからは、正当な指導とハラスメントの境界線があいまいなため、企業がハラスメント対策を行っていても、ハラスメントへの配慮が一人ひとりの努力にゆだねられていることが推察できます。


