給付付き税額控除の前倒しという選択肢
2029年度の導入が予定されている給付付き税額控除については、税額控除よりも給付を先行させる案も検討されています。
仮にその方向で制度設計が進むのであれば、給付付き税額控除そのものを前倒しして導入するという考え方も選択肢の一つとなるでしょう。
もっとも、そのためにはマイナンバー制度や所得把握の仕組みなど、制度面での準備が不可欠であり、実現には一定の時間を要すると考えられます。
求められるのは将来像を示す政策
与党の減税案も、野党の給付案も、現時点では十分な財源の見通しが示されているとは言えません。そのため、小説のタイトルを借りれば「暗夜行路」のような状況と言えるかもしれません。
物価上昇を抑えることが難しいなかでの消費税減税と、効果が見えにくい給付のどちらを選ぶべきか――国民の立場から見れば、どちらにも手放しで賛成できる状況ではないでしょう。
その背景には、景気や税制の将来像が十分に示されていないことがあります。もちろん、国際情勢の緊迫化や資源価格の変動など、政策だけでは対応しきれない外的要因もあります。しかし、それを理由に将来像を示さないままでよいわけではありません。
減税か給付かという二者択一に終始するのではなく、それぞれの政策効果や財源、そして将来の社会保障制度まで含めた道筋を国民に示すことこそ、今、与野党の双方に求められているのではないでしょうか。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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