名義預金を「贈与」と認めてもらうために必要なこと
吉田課長「この裁判から学ぶべきことは?」
ポイントを下記2.(10)にまとめました。
2.親族名義預貯金の帰属に関する裁判例
(10)親族名義預貯金が被相続人の預貯金とされないポイント(まとめ)
①贈与者の意識
贈与者は「この預貯金は預かり物である」という強い自覚を持つこと。
②名義・住所・登録印の一致
預貯金は受贈者の名義・住所で管理し、登録印も贈与者とは別のものを届け出ること。
③受贈者への資金移動の方法
受贈者にお金を渡す場合は、受贈者名義の預貯金を解約・払い戻しして渡すこと。贈与者名義の口座から渡すのは不可。
④通帳・印鑑を贈与者が預かる場合
①~③を満たす場合であっても、贈与者が受贈者名義の通帳や印鑑を預かる合理的な理由が必要。
⑤贈与を受けたことを明確にする方法
・受贈者が通帳と登録印を保有する
・贈与契約書を作成する
すでに述べたとおり、贈与者は受贈者名義の預貯金を「預かり物」として扱う自覚が必要です(上記①)。
また、これも当然のことですが、預貯金の名義・住所・登録印は受贈者のものでなければなりません(上記②)。さらに、受贈者に資金を渡す際は、必ず受贈者名義の預貯金を取り崩すことが重要です(上記③)。
②と③は、預貯金が受贈者の財産として成立していることを示す客観的な証拠になります。
今回取り上げた事例では、②・③の事実を十分に証明できなかったため、原告側は敗訴しました。また、①~③を満たしていても、贈与者が通帳や印鑑を預かっている場合は、税務署から理由を問われる可能性があります(上記④)。
そこで、税務署とのトラブルを避けたい場合は、受贈者が通帳と印鑑を贈与者から受け取り、自分で管理することが最も確実です(上記⑤)。
なお、贈与者と受贈者が同居している場合でも、受贈者が通帳を使って入出金を行い、税務署から質問された際には「使途」「原資」を説明できるようにしておくことが重要です。また、現代では、口座振込による贈与も一般的です。この場合は、当然ながら受贈者が普段使っている口座に振り込んでもらう必要があります。
要するに、受贈者が通帳のお金を自由に出し入れしている実績を作ることが、贈与の証明として有効です。
また、贈与を明確にする方法として「贈与契約書」を作成しておくことも有効です。
これにより、贈与者(親)と受贈者(子)が贈与契約を結んだ事実が客観的に残り、双方の「贈与した/贈与を受けた」という意識も明確になります。
多田 雄司
税理士
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