銀行が見ているのは利益だけではない
中小企業が粉飾に手を染める理由の多くは、金融機関から融資を受けるためだ。しかし、金融機関は利益だけを見て融資を判断しているわけではないという。
「売掛金や在庫の増減、回転期間、キャッシュフロー、関係会社との取引など、貸借対照表も含めた決算書全体の整合性を見ています。今回報じられている全東信の事案でも、預金の水増し、架空債権、営業権の過大計上、未払金の未計上など、貸借対照表全体を書き換えるような粉飾が疑われています。一般的な中小企業の粉飾よりも手口は複雑ですが、『実態より会社を良く見せたい』という本質は同じです」(貝井氏)
また、決算書は「会社の健康診断」のようなものだという。
「赤字決算は健康診断で『要注意』という結果が出た状態です。健康診断で異常が見つかったら治療をします。数字を書き換えても病気は治りません。決算も同じで、赤字は改善の出発点ですが、粉飾は改善の機会そのものを失わせてしまいます。もちろん改善すべき問題ですが、原因を分析し、改善策を考えるきっかけにもなります。一方、粉飾決算は健康診断の数値を書き換えて『異常なし』と報告するようなものです。病気は治っていないため、本来必要だった治療の機会を失い、結果として会社の状態をさらに悪化させてしまいます」(貝井氏)
銀行も、赤字という結果だけで融資を止めるわけではない。
「赤字になった理由や改善策を説明できる会社であれば支援を継続することもあります。一方で、決算書そのものが信用できない会社は、金融機関との信頼関係を失います」(貝井氏)
近年は金融機関もデータ分析を高度化させており、不自然な資金移動や財務内容の変化を以前より把握しやすくなっている。決算書だけを取り繕えば融資を受けられる時代ではなくなりつつある。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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