「当面立て替える」…藤原さんの決断
「社会に出る怖さや、何百万円もの借金を背負う意味を、あのとき親としてしっかり教えただろうか。ただ『なんとかなる』と手続きを急がせてしまったのかもしれない……」
まずは次男のメンタルの回復が最優先であると考え、結局、当面の間は和彦さん夫婦が返済を立て替えることを決めました。
「もしこのまま働けなくなれば、利息を含めて600万円近いお金を私たちが肩代わりすることになります。それどころか、一人暮らしを維持できずに実家に戻ってくれば、日々の生活費も跳ね上がる。由布院への旅行どころか、65歳で完全リタイアする計画は、一度白紙に戻さざるを得ません」
藤原さんは、そう項垂れます。
根底にある「親子のズレ」…納得できるまで話し合うこと
藤原さんは立て替えるという決断をしました。それが絶対に悪いというわけではありませんが、そのせいで老後に絶対叶えたかった夢を諦めたり、家計が破綻してしまっては元も子もありません。
JASSO(日本学生支援機構)には、返還期限を先送りにする「返還期限猶予」や返済額を減らす「減額返還」といった仕組みがあります。そのため、まずはこの制度を使い、「息子への返済プレッシャーをいったん無くす」という手続きを行う方法もあります。ただし、最終的に「借りたお金は返す」ことには変わりません。
そもそも、今回のトラブルの根底には、「奨学金=本人の借金」という認識を18歳の時点で親子がどれだけ共有できていたかという点にあります。子ども側からすれば、「親に言われるがままにサインさせられた借金」であり、親側からすれば「自分が勉強するための費用は、自分で返済するのが当たり前」というズレが生じています。
このズレを解消するには、親子が納得できるまで話し合うことが欠かせません。奨学金は「借りて終わり」ではなく、卒業後20年という長い付き合いが続くものです。親の老後破産を防ぎ、子どもの未来を守るためには、親子で冷静に向き合い、国の制度も活用しながら、長期的な返済計画を再構築していく必要があるでしょう。
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