公務員夫婦、余裕の老後資金とともに「世界一周クルーズ」へ
中央省庁の職員として働いてきた木村幸一さん(仮名・当時61歳)と、同事務職員の妻・小百合さん(仮名・61歳)。二人は、ほぼ同時に定年を迎えました。
国家公務員、しかも夫婦ですから、客観的には「老後は確実に安泰」というイメージでしょう。実際、現役時代の世帯年収は約1,600万円。2人の子どもは小学校から大学まで私立へ。都内に3LDKの分譲マンションを購入しました。
華美な生活とまではいきませんが、多忙なこともあって「ある程度お金で解決することも必要」というのが夫婦共通の考え。子どもが独立してからの支出は、住宅ローン込みで月50万円ほどでした。
退職金も夫婦2人分で約3,500万円と高水準。預貯金2,400万円を合わせた総資産は、リタイア時点で約6,000万円に達していました。
退職後すぐ、二人は住宅ローン残高約1,800万円を一括返済。これで借金はなくなり、手元には4,200万円強の純資産が残った計算になります。
「これだけあれば、老後はまったく問題ないね」
そんな余裕とともに、退職してから2ヵ月後、現役時代の激務を労うご褒美として、憧れの「100日間世界一周クルーズ」へ出発した夫婦。「一生に一度だから」と、寄港地でのツアーやショッピングも含め、計650万円を惜しみなく投じました。
恐ろしい残高に「顔面蒼白」
しかし、世界一周から帰国し、定年から1年ほどが経とうとした頃、二人は通帳を見て頭を抱えていました。
「残高が減るのが早すぎる……」
退職時に6,000万円あった資産は、住宅ローンの完済(約1,800万円)と世界一周クルーズ(約650万円)、そして帰国後も続いた生活費等(1年で約420万円)に加え、固定資産税や各種保険料などの諸経費も重なり、わずか1年で約3,000万円にまで激減していたのです。
「この調子じゃ、下手したら数年のうちになくなるぞ。年金をもらうのも、まだ少し先なのに……。クルーズなんて行ってる場合じゃなかったのか?」
木村さん夫婦の夢のような思い出が、別の景色に変わりかけた瞬間でした。

