(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査の結果、追徴課税や更正処分を受けたとしても、その判断が常に正しいとは限らない。事実認定に誤りがあったり、法令の解釈について納税者と税務当局の見解が対立したりすることもある。そのような場合、納税者には税務当局の判断を争うための「税務争訟制度」が用意されている。しかし、「税務署に異議を申し立てても意味はあるのか」「裁判まで行けば逆転できるのではないか」と考える人も少なくないだろう。国税庁と国税不服審判所が公表した令和7年度の統計を見ると、不服申立制度は一定の権利救済機能を果たしている一方で、税務当局の判断を覆すハードルは決して低くないことも浮かび上がる。本稿では、再調査請求、審査請求、税務訴訟という三つの制度を、最新データを基に読み解いていく。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

約8割が「直接審査請求」を選択する時代

税務署ではなく、第三者による判断を求める納税者は増えているようだ。令和7年度に国税不服審判所へ新たに申し立てられた審査請求は3,159件だった。このうち2,522件、全体の79.8%が再調査請求を経ずに申し立てる「直接審査請求」となっている。

 

前年度は69.6%であったことから、この割合はさらに上昇している。

 

制度改正から約10年が経過し、再調査請求よりも、中立的な第三者機関による判断を最初から求めることが一般的になりつつあることがうかがえる。

 

税目別では、消費税等が1,346件と最も多く、全体の4割を超えた。次いで、申告所得税等が841件、法人税等が611件、相続税・贈与税が133件と続いた。

 

消費税は制度そのものが複雑であることに加え、インボイス制度の導入によって実務上の論点が増えたことも、不服申立てが多い要因の一つと考えられる。

審査請求で認められたのは7.2%

令和7年度に処理された審査請求は3,128件だった。そのうち全部認容は80件、一部認容は146件で、合計226件が納税者側の主張を全部または一部認める裁決となった。認容率は7.2%である。

 

一方、棄却は2,175件、却下379件、取下げ348件となり、多くの案件では税務当局の処分が維持されている。

 

もっとも、この数字だけを見て「審査請求では勝てない」と結論づけることはできない。審査請求まで進む案件は、事実認定や法令解釈について当事者の対立が大きいケースが多く、もともと争点が複雑な事案が集まる傾向があるためだ。

 

それでも毎年200件を超える案件で処分が全部または一部見直されていることは、不服申立制度が実際に救済機能を果たしていることを示している。

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