(※写真はイメージです/PIXTA)

相続した借金が、その後に免除された場合、その利益には所得税が課されるのか。最高裁第三小法廷は2026年6月23日、この問題が争われた訴訟で、納税者勝訴とした東京高裁判決を破棄し、事件を差し戻した。新聞各紙は「最高裁、課税の可能性を認める」と報じたが、判決文を読むと、今回の判断はそれほど単純ではない印象だ。最高裁が判断したのは、「相続だから非課税」という主張が成り立つかどうかであり、債務免除益そのものが所得税法上の「所得」に当たるかという核心部分は判断していない。今回の判決は、「課税を認めた判決」ではなく、「何が本当の争点なのか」を整理した判決として理解する必要がありそうだ。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

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16億円の債務と「100万円払えば9.7億円免除」という和解

事件の発端は、被相続人が金融機関との間で成立させた裁判上の和解だった。約16億円の債務について、「約6億2,630万円を期限どおり支払えば、残る約9億7,370万円を免除する」という内容だ。

 

被相続人は約6億2,530万円まで返済したものの、最後の100万円を支払う前に死亡した。相続人は債務を承継し、その後100万円を支払ったことで、約9億7,370万円の債務免除を受けた。

 

税務署は、この約9.7億円の経済的利益を一時所得として課税し、更正処分を行った。これに対し相続人らは、その取消しを求めて提訴した。

東京高裁は「実質的には相続財産」と判断

東京高裁は納税者の主張を認めた。

 

相続税では、この債務は「確実な債務」とはいえないとして債務控除が認められなかった。しかし高裁は、その後に実現した債務免除益は、潜在的には相続によって取得していた利益であり、相続財産の一部と実質的に同じ経済的価値を持つと判断した。

 

そのため、この利益に所得税を課すことは、所得税法9条1項16号が予定する相続税と所得税の二重課税排除の趣旨に反すると結論付けた。

 

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