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36年前から指摘されてきた「類似業種比準価額は安すぎる」という問題
非上場株評価をめぐる議論は、決して新しいものではない。
平成2年6月22日の衆議院「土地問題等に関する特別委員会」でこの問題が質疑されている。当時の委員は、類似業種比準方式で株式を評価すると、利益や配当の少ない会社では全体的に見ると2割程度の評価しかされない実態を指摘し、そもそも上場会社に類似したものが本当にあるのかどうかと、制度の前提そのものに疑問を投げかけていた。
これに対し当時の国税庁は、「現行の評価方法は、御案内のように取引相場のない株式の実態と中小企業の事業承継への配慮から採用されて」いると説明する一方、行き過ぎた節税策が講じられていることも課税の公平の観点から問題だとの認識を示していた。
36年を経た今回の見直し議論は、この当時からの問題意識の延長線上にあると言えるだろう。
裁判所は現行制度の合理性を認めてきた
もっとも、現行制度そのものが不合理と判断されてきたわけではない。
平成3年11月12日の仙台地裁判決は、類似業種比準方式について、上場株式の価格には景気変動・金融情勢・株式市場の動向といった「企業外部の要因」が反映されており、これは非上場株式にも共通するため、上場株式を基準に比準評価する手法には合理性があると判断した。
同判決はまた、簡便性に優れ、評価の恣意性を排除できる長所も認めている。純資産価額方式についても、株式は会社財産に対する持分としての性格を有することから「株式の評価に対する基本的な方式」であり、特に支配株主の株式の最低限の価値を把握する方式として適合性が高いとの考え方を示した。
一方、平成4年2月27日の名古屋高裁判決は、通達改正の遡及適用が争われた事案で、「従前の通達もその時点では合理的であったが、時代の流れにそぐわなくなったに過ぎない場合」であっても、不合理性を修正するための改正であれば遡及適用を認める余地があるとの判断を示した。合理的な制度であっても、社会経済情勢の変化に応じて改正され得るという考え方だ。
7月3日に開催された有識者会議でも、企業価値評価理論の進展や、会社法上の訴訟・M&A実務で類似業種比準方式が用いられなくなってきたことを踏まえ、現行制度の再検討が必要との問題意識が共有されている。実際、ある委員からは「類似業種比準方式には一定の理論的合理性はあるが、算定方法等に理論的・実証的な裏付けがないことから廃止した方がいい」との意見が出た一方、別の委員は「簡便性等の点から優れており、事業承継の役割を担ってきた一連の流れと歴史がある」として見直しに慎重な立場を示すなど、意見は割れている。
