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「戦略技術領域型」による重点化とメリハリある支援
令和8年度税制改正大綱(2025年12月19日与党決定、同月26日閣議決定)では、一般型とは別に、戦略的に重要な技術領域の研究開発を対象とする「戦略技術領域型」を設けることが決定された。根拠法となる産業技術力強化法の改正案は2026年6月12日に国会で成立しており、制度の実現に向けた法的手当ては整っている。
この制度では、産業技術力強化法の重点研究開発計画の認定を受けた事業者が行う研究開発について、重点産業技術試験研究費の額の40%を法人税額から控除できる。さらに、認定を受けた研究開発機関(大学や国立研究開発法人など)と共同・委託で行う研究については、特別重点産業技術試験研究費の額の50%を控除できる「大学拠点等強化類型」も設けられる。
控除税額は当期の法人税額の10%を上限とし、控除限度超過額は3年間繰り越すことができる。適用対象となるのは、産業技術力強化法の改正法施行の日から令和11年(2029年)3月31日までの間に重点研究開発計画の認定を受けた事業者。認定日以後5年を経過する日または計画期間終了日のいずれか早い日までの各事業年度が対象となる。
一般型についても控除率カーブおよび控除上限の変動措置を見直し、令和9年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。一方、海外委託研究費については、国内の研究基盤強化の観点から、治験を除き控除対象割合を段階的に70%(令和8年度)→60%(令和9年度)→50%(令和10年度以降)へ縮小する。
戦略技術領域の対象6分野
戦略技術領域型の対象は、第7期科学技術・イノベーション基本計画(2026年3月閣議決定)を踏まえ、産業技術力強化法の「重点産業技術」として政令で6分野が指定される見通しだ。
対象は、AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー(核融合)、宇宙の6分野だ。
ただし分野ごとに対象範囲の考え方は異なっており、AIや半導体など成熟した分野では重点領域に絞り込む方向で調整が進んでいる。一方、量子や核融合など発展途上の分野では、比較的広い範囲を対象とする案が出ている。
対象技術は2〜3年程度ごとに見直す方針で、詳細は引き続き経済産業省で検討するという。
研究開発の評価・認定の仕組み
戦略技術領域型の適用には、改正産業技術力強化法に基づく「重点研究開発計画」の認定を受ける仕組みとなる。
認定にあたっては、研究開発の内容や目標、実施体制、資金計画、過去の研究開発実績などの提出が求められる方向だ。
認定は研究開発計画ごとに行う仕組みで、業種単位ではなく研究内容に基づいて判断する。認定後も実施状況の報告や管理体制の整備が求められるほか、技術流出防止の観点も制度に組み込む方向だという。
産学連携・オープンイノベーションの強化
大学や国立研究開発法人などの認定研究拠点と共同・委託で行う研究開発については、50%の控除率を適用する「大学拠点等強化類型」が設けられる。
認定研究拠点は重点産業技術の研究開発に必要な体制を備えた機関として位置付けられ、事業者との連携促進のため公表される方向だという。
また、既存のオープンイノベーション型についても、手続の簡素化や対象人材の定義拡大など、産学連携を後押しする見直しを検討中だ。
AI関連技術については、「機械学習以降の研究開発」を中心に対象とする方向が示されているものの、具体的な線引きについては引き続き整理が必要としている。
先端ロボットについても、AIによる自律制御を伴う高度なシステムを対象とする一方で、単純な既存技術の組み合わせによるものは対象外とする方向調整が進んでいるようだ。
戦略技術領域型については高い控除率を設定する一方で、対象範囲を重点分野に限定することで財政影響とのバランスを図る設計となっている。
法制化の状況と今後のスケジュール
制度の基本方針は令和8年度税制改正大綱で示され、根拠法となる「産業技術力強化法の一部を改正する法律案」は2026年3月13日に閣議決定・国会提出された。同法案は衆議院で5月29日に委員会可決、6月2日に本会議可決、参議院で6月11日に委員会可決、6月12日に本会議で可決・成立した。
施行日は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日とされており、税制上の措置については令和9年度以降の適用を見込む向きが強い。
今後は、対象技術の政令指定や重点研究開発計画の認定基準の具体化など、制度の運用詳細について経済産業省の研究会で検討が続けられる見通しだ。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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