驚異のスピードで減り続ける資産
美智子さん自身、当初は家計を細かく確認していませんでした。
「夫がお金を残してくれたから大丈夫」
そう考えていたからです。しかし実際には、食費や光熱費、住宅の維持費、交際費などを合わせると、毎月の支出は40万円を超えることも珍しくありませんでした。
年金収入との差額は月15万〜20万円。これだけでも年間200万円以上の資産が減っていきます。
さらに家計を圧迫したのは、数百万円単位の大型支出でした。築30年を超えた自宅では、外壁塗装や屋根の防水工事、水回り設備の更新などが必要となり、約600万円を支出。
夫の法要や墓の維持管理費もかかりました。また、4人いる孫の進学祝いや結婚祝い、新生活の援助などにもまとまったお金を使っています。
コロナ禍が明けてからは、友人たちとの旅行も再開。高級旅館への宿泊や観劇を兼ねた旅行などで、年間数十万円の支出が続きました。こうした費用が積み重なった結果、5,000万円あった金融資産は、わずか5年で約2,200万円にまで減少していたのです。
「不安…でも生活を変えられない」
数字だけを見れば、2,200万円という金額は決して少なくありません。しかし、美智子さんは、たった5年で資産が半分以下になったことに、強い不安を抱えています。
「今は元気だからいいんです。でも、介護が必要になったらどうなるんだろうって」
今後も自宅の維持管理には費用がかかり、医療費や介護費用が増える可能性もあります。老人ホームへの入居を検討することになれば、さらに大きな資金が必要になるかもしれません。
長男からは「家を売ってマンションに移れば?」と住み替えを勧められたこともありましたが、美智子さんは受け入れませんでした。
「この家には、主人との思い出が全部あるんです」

